おうな〔をうな〕【▽女】
《「おみな(女)」の音変化》おんな。特に、若い女性。
「強からぬは―の歌なればなるべし」〈古今・仮名序〉
おんな〔をんな〕【女】
《「をみな」の音変化》
1
㋐人間の性別で、子を産む機能のあるほう。女性。女子。⇔男。
㋑人以外の動植物で雌性のもの。めす。「女馬」
2 成熟した女性。子供を産むことができるまでに成長した女性。一人前の女性。
3 やさしいとか弱いとか、一般に1が備えていると考えられる性質をもっている人。「強いようでも、やっぱり女だ」
4 女性としての名誉。容貌(ようぼう)や器量。女ぶり。「いい女」「女をあげる」
5 愛人。情婦。妾。「女ができる」
6 女中。下女(げじょ)。「宿の女」
7 売春婦。商売女。
8 (接頭語的に名詞の上に付いて)一対のもののうち、小さいほうのもの、容易なほうのものなどを表す。「女扇」「女坂」
9 妻。女房。
「西の京にて―を持ちけり」〈仮・仁勢物語・上〉
じょ〔ヂヨ〕【女】
[名]
1 おんな。女性。婦人。また、むすめ。
2 二十八宿の一。北方の第三宿。うるきぼし。女宿。今の水瓶(みずがめ)座中の西部をさす。
[接尾]女性の名や号に付けて用いる。「千代女」「秋色(しゅうしき)女」
め【女/▽妻】
《「男(お)」に対する語》
1 女性。おんな。
「吾(あ)はもよ―にしあれば」〈記・上・歌謡〉
2 配偶者、または愛人としての女性。妻。
「年頃あひ馴れたる―」〈伊勢・一六〉
3 (「雌」「牝」とも書く)他の語の上または下に付いて複合語をつくる。
㋐女性、または動植物のめすを表す。「―神」「―鹿」「―蕊(しべ)」「手弱(たおや)―」
㋑一対の物のうち、小さいほう、または女性的と思われるほうの物を表す。「―滝」「―瓦」
おみな〔をみな〕【▽女】
女。女性。
「妻とすべき好き―を覓(もと)めて」〈霊異記・上〉
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おな をな【女】
〘名〙 (「おんな(女)」の変化した語) 若い妻、娘などをさしていう。おなあ。おなご。
※大鏡(12C前)一「そこにおはするは、そのをりの女人(ヲナ)にやみてますらん」
おなあ をなあ【女】
※雲形本狂言・貰聟(室町末‐近世初)「ヱイおなあ、ようこそおりあったな」
おみな をみな【女】
〘名〙 若い女。
※古事記(712)下・歌謡「呉床座(あぐらゐ)の 神の御手もち 弾(ひ)く琴に 舞する袁美那(ヲミナ) 常世(とこよ)にもがも」
おんな をんな【女】
〘名〙 (「をみな(女)」の変化した語) 人間のうち、男ではない方。本来卵子をつくる器官をそなえている方。
① 年齢に関係なく、女性。婦人。女子
(じょし)。おなご。め。⇔
おとこ。
※竹取(9C末‐10C初)「この世の人は、男は女にあふ事をす。女は男にあふことをす」
② 特に、精神的にも肉体的にも、一人前となった女性。やさしい、しとやか、繊細など、女性の特質とされる意味を含んで使われる場合もある。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)玉鬘「年ごろも人知れず尋ね侍りつれば、え聞き出ででなむ女になるまで過ぎにけるを」
③ 夫に対する配偶者。妻。女房。
※虎明本狂言・石神(室町末‐近世初)「おんなのかけでいままで某は、らくらくとすぎて御ざるに、あれがいずはそれがしは何共なるまひ」
④ 情婦。愛人。妾。
※金色夜叉(1897‐98)〈尾崎紅葉〉続「其の通だ。情婦(ヲンナ)が有るのが奈何(どう)したと」
⑤ 下女。女中。〔随筆・守貞漫稿(1837‐53)〕
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「給事の婢(ヲンナ)が不慣れなので」
⑥ 遊女。女郎。淫売婦。売春婦。
※洒落本・船頭深話(1802)一「女郎の事を女女といふが此連中の通り句也」
※人情本・花暦封じ文(1866頃)三「然様(さう)して女(ヲンナ)も大層美(い)いさうですから」
⑧ 雌性のもの。「女馬」
⑨ 対になったもののうち、小さい、なだらか、などの性質をそなえた方。「女坂」「女山」
[語誌](1)古代では男女の呼称を、大小を表わすオとヲでいうオキナ━オミナ、ヲグナ━ヲミナと、若返る意の動詞ヲツを構成要素とするヲトコ━ヲトメがあって、前者は年長・年少の男女を意味し、後者は結婚適齢期の男女を意味した。ところが「古事記」では同じ女性をヲトメともヲミナとも呼んでおり、「万葉‐四三一七」では「秋野には今こそ行かめもののふの乎等古
(ヲトコ)乎美奈
(ヲミナ)の花にほひ見に」とヲトコとヲミナが対になっているから、年少の女性の意と適齢期の女性の意が混同されて、ヲトコ━ヲミナという対が生じたらしい。そしてヲトコが男性一般をいうようになったのに伴ってヲミナも平安時代にヲンナと変化し、女性一般を指すようになった。→
おみな・
おうな・
おとめ・
おとこ。
(2)→「
おなご(女子)」の語誌
おんな‐
し をんな‥【女】
※源氏(1001‐14頃)帚木「なよびかに女しと見れば、余り情けにひきこめられて」
じょ ヂョ【女】
[1] 〘名〙 おんな。婦人。また、女郎。
※幸若・夜討曾我(室町末‐近世初)「二人のちょはいろをみて、御盃の長持は、おさかなの所望かや。ざしきに女のありながらいざやうたひて参らせむ」
※寄想春史(1879‐80)〈織田純一郎訳〉初「花を売る女
(ヂョ)は街隅に

屯
(ほうとん)す」 〔易経‐繋辞上〕
[2] 二十八宿の北方第三宿。水瓶座に属する四星から成る。女宿。うるきぼし。〔易林本節用集(1597)〕 〔礼記‐月令〕
[3] 〘接尾〙 女性の名前や号などに添える語。「千代女」「秋色女」など。
※幸若・築島(室町末‐近世初)「名月女と名付」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典内の女の言及
【性】より
…〈性〉ということばにはさまざまな意味がある。まず〈性〉は生物の多くの種にみられる二つの表現形態の区別で,ヒトであれば男性―女性,動植物であれば雄性(雄)―雌性(雌)の区別を意味する。次に,この二つの性が存在するところから生じる行動,現象も一般に〈性〉といわれる。…
※「女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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