工部(読み)コウブ

デジタル大辞泉 「工部」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぶ【工部】

中国六部りくぶの一。営繕土木事業などをつかさどった官庁代に設置され、末に廃止
宮内省唐名

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精選版 日本国語大辞典 「工部」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぶ【工部】

〘名〙
① 中国の役所の名。六部の一つ。隋、唐の頃から始まる。営造、工作に関する仕事を受け持つ。長官は工部尚書。〔隋書‐百官志・下〕
② 宮内省(くないしょう)の唐名。〔職原鈔(1340)〕
令制木工寮(もくりょう)、東宮の主工署の下級職員で、技術者。令外官の兵庫寮にも置かれていた。雑色(ぞうしき)。〔令義解(718)〕
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一一「工部(コウブ)入学とか言ってゐた」
⑤ 「こうぶしょう(工部省)①」の略。〔広益熟字典(1874)〕

たくみ‐べ【工部】

〘名〙 =こうぶ(工部)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「工部」の意味・わかりやすい解説

工部
こうぶ
Gong-bu; Kung-pu

中国の中央行政官庁であった六部の一つ。営繕建造などを管轄。『周礼』冬官の系統ひき,隋,唐では尚書省の下で長官尚書,次官侍郎,判官郎中,員外郎以下の組織が整う。工部 (城郭,土木,工作) ,屯田 (屯田,職田) ,虞部 (苑池,林野) ,水部 (渡し場,船,水利) の4部局を管理し,将作監とともに公的営造に責任をもった。元代に尚書省が廃されると中書省に属し,明代以降は天子に直属,1906年の新制で農工商部に吸収された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「工部」の解説

工部(こうぶ)

隋唐以来の中央行政官庁である六部(りくぶ)の一つ。国家の土木,建設,製造に関する業務を統轄した。現在の日本の国土交通省における土木建設部門に相当する。唐代では尚書省に属し,元代では中書省に,明清では皇帝直属であったが実質上は内閣のもとに置かれた。1906年の制度改革で,農工商部に併合された。

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普及版 字通 「工部」の読み・字形・画数・意味

【工部】こうぶ

営造の官。

字通「工」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「工部」の意味・わかりやすい解説

工部
こうぶ

三省六部

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旺文社世界史事典 三訂版 「工部」の解説

工部
こうぶ

六部 (りくぶ)

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世界大百科事典(旧版)内の工部の言及

【六部】より

…中国,唐代から清末まで中央行政を分掌した吏,戸,礼,兵,刑,工の6官庁の総称。吏部は文官の人事,戸部は財政,礼部は祭祀と教育,兵部は軍事と武官の人事,刑部は司法,工部は土木に関する政務をそれぞれ担当した。魏・晋以後,中央行政機関となってきた尚書省は,5曹ないし6曹の分曹をもち,それらの曹名にも変遷があったが,唐代にいたって吏,戸,礼,兵,刑,工の六部とした。…

※「工部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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