籠神社(読み)コノジンジャ

デジタル大辞泉 「籠神社」の意味・読み・例文・類語

この‐じんじゃ【籠神社】

京都府宮津市にある神社。祭神彦火明命ひこほあかりのみこと豊受大神ほか。籠守こもり大明神。もり神社。丹後国一の宮

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精選版 日本国語大辞典 「籠神社」の意味・読み・例文・類語

この‐じんじゃ【籠神社】

  1. 京都府宮津市大垣にある神社。旧国幣中社。祭神は彦火明命(ひこほあかりのみこと)、豊受大神(とようけのおおかみ)天照大神(あまてらすおおみかみ)ほか二柱。養老三年(七一九)本宮を真名井ケ原から現在地に移転。本殿は唯一(ゆいつ)神明造の原型として知られる。また、「籠名神社祝部氏系図」(海部氏系図)は日本最古の系図の一つで国宝。丹後国一の宮。こもりじんじゃ。籠守権現。籠宮大明神。元伊勢。元伊勢一の宮。

こもり‐じんじゃ【籠神社】

  1. このじんじゃ(籠神社)

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日本歴史地名大系 「籠神社」の解説

籠神社
このじんじや

[現在地名]宮津市字大垣

天橋立の北側の付根近く、成相なりあい今熊野いまくまのの麓に鎮座する。

丹後一宮。「延喜式」神名帳に与謝郡コノ神社名神大、月次新嘗」とみえる。現在籠神社では、天照大神・豊受大神・天水分神、それに海部祖神天火明神ならびに氏神の住吉神を祀るとする。旧国幣中社。

「続日本後紀」嘉祥二年(八四九)二月二五日条に「此日、奉丹後国籠神従五位下」とみえるのをはじめとして、「三代実録」貞観六年(八六四)一二月二一日条に「授丹後国従五位上籠神正五位下」、同一三年六月八日条に「授丹後国正五位下籠神従四位下」、元慶元年(八七七)一二月一四日条に「授丹後国従四位下籠神従四位上」などとあり、籠神として早くより知られていたことがわかる。

祭神については建武二年(一三三五)七月日付大谷寺衆徒勅願寺訴状(「成相寺旧記」所引)に「所謂豊受太神宮之本宮籠宮大明神」とあり、天和年間(一六八一―八四)の写と称する籠大明神縁起秘伝(海部家蔵)にも「夫当社籠大明神即豊受大神也」と記し、また「人王十代崇神天皇御宇天照大神幸于与謝宮、与謝宮則是籠大明神也」とも記している。

「宮津府志」は

<資料は省略されています>

と、籠神社を伊勢の外宮(現三重県伊勢市)の元宮の地とする社記を記す。一方「丹哥府志」は「籠神社は蓋表筒男命、中筒男命、底筒男命に豊受皇を合せ祀るなり所謂住吉明神なり」としている。

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百科事典マイペディア 「籠神社」の意味・わかりやすい解説

籠神社【このじんじゃ】

京都府宮津市大垣に鎮座。旧国幣中社。豊受(とようけ)大神,天照大神,天水分(あめのみくまり)神および海部(あまべ)祖神天火明神などをまつる。海部直(あたい)が部(はふりべ)となってまつった神社で,平安時代前期に書写されたとみられる海部氏系図および近世の勘注系図(いずれも国宝)が伝来する。また伊勢神宮の豊受大神宮(外宮)の元の鎮座地であるとも伝え,元伊勢と通称。式内社名神大社)。丹後国の一宮。例祭は4月24日で,続いて葵(あおい)祭神事が行われる。社地は天橋立を望む景勝地にある。
→関連項目宮津[市]

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改訂新版 世界大百科事典 「籠神社」の意味・わかりやすい解説

籠神社 (こもりじんじゃ)

京都府宮津市に鎮座。〈このじんじゃ〉とも呼ぶ。彦火明(ひこほあかり)命を主神とし,相殿(あいどの)に豊受大神,天照大神,海神(わたつみのかみ),天水分(あめのみくまり)神をまつる。一説に天照大神を倭の笠縫邑(かさぬいのむら)より移しまつった丹波の与佐(よさ)宮とは本社のことといわれ,また境内に磐座(いわくら)のある古社である。877年(元慶1)従四位上,延喜の制で名神大社,山陰道で祈年,月次(つきなみ),新嘗の案上の幣帛にあずかる唯一の社,丹後国の一宮,中世以降も領主,藩主の厚い崇敬をうけた。旧国幣中社,代々海部(あまべ)氏が奉仕してきた。例祭は4月24日で,葵(あおい)祭というが,なかで御蔭(みかげ)神事という神幸神事,また太刀振神事があり,祭員は冠に藤の花をさして奉仕する。国宝の海部氏系図を所蔵している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「籠神社」の意味・わかりやすい解説

籠神社(こもりじんじゃ)
こもりじんじゃ

京都府宮津市字大垣に鎮座。社名については「籠」を「こ」と読んで「このじんじゃ」と称するのを正式としている。祭神は彦火明命(ひこほあかりのみこと)、豊受大神(とようけのおおかみ)、天照大神(あまてらすおおみかみ)、海神(わたつみのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)。崇神(すじん)天皇の代、天照大神が大和(やまと)国(奈良県)笠縫邑(かさぬいむら)から伊勢(いせ)国(三重県)へ御遷座の途次、当地に4年間とどまられ匏宮(よさのみや)(のちに与佐宮、与謝宮など)と称したと伝えられ、元伊勢宮(もといせぐう)ともよばれる。延喜(えんぎ)式内名神(みょうじん)大社で丹後(たんご)国(京都府北部)一宮(いちのみや)。旧国幣中社。例祭は4月24日で、葵(あおい)神事(葵祭)と称するが、フジの花をかざすのが古例で、獅子舞(ししまい)、太刀振(たちふり)、鶺鴒囃(ささばやし)の奉納がある。社宝の社家海部(あまべ)家の伝える海部直系図は国宝、石造狛犬(こまいぬ)、銅製経筒は国の重要文化財に指定されている。

[佐野和史]



籠神社(このじんじゃ)
このじんじゃ

籠神社

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デジタル大辞泉プラス 「籠神社」の解説

籠(この)神社

京都府宮津市にある神社。「元伊勢籠神社」ともする。祭神は彦火明命(ひこほあかりのみこと)、豊受大神(とようけのおおかみ)、天照大神(あまてらすおおみかみ)、海神(わたつみのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)。丹後国一之宮。国宝「海部氏系図」を所蔵。

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世界大百科事典(旧版)内の籠神社の言及

【籠神社】より

…京都府宮津市に鎮座。〈このじんじゃ〉とも呼ぶ。彦火明(ひこほあかり)命を主神とし,相殿(あいどの)に豊受大神,天照大神,海神(わたつみのかみ),天水分(あめのみくまり)神をまつる。一説に天照大神を倭の笠縫邑(かさぬいのむら)より移しまつった丹波の与佐(よさ)宮とは本社のことといわれ,また境内に磐座(いわくら)のある古社である。877年(元慶1)従四位上,延喜の制で名神大社,山陰道で祈年,月次(つきなみ),新嘗の案上の幣帛にあずかる唯一の社,丹後国の一宮,中世以降も領主,藩主の厚い崇敬をうけた。…

【成相山】より

…南東側の中腹にある真言宗成相寺は古来観音霊場として有名で,西国三十三所の第28番札所である。南側山麓に近い標高140m付近にある傘松公園からの天橋立の展望はすばらしく,南麓にある籠(この)神社の横からケーブルカーが通じている。延喜式内社の籠神社は丹後国一宮であり,〈海部氏系図〉(国宝)など多数の文化財を伝える。…

※「籠神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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