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愛染明王 あいぜんみょうおう Rāgarāja

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

愛染明王
あいぜんみょうおう
Rāgarāja

大愛欲大貪染の三昧に住む明王。大日如来または金剛薩 埵の変化身といわれる。円形の光背をつけ,三目六臂の忿怒相をとり,獅子冠をかぶり,金剛鈴,金剛弓,拳,五鈷杵,金剛箭,蓮華を手にし,蓮華座上に結跏趺坐して,身色は赤で表現される。

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デジタル大辞泉の解説

あいぜん‐みょうおう〔‐ミヤウワウ〕【愛染明王】

《〈梵〉Rāga-rājaの訳》密教の神。愛欲などの迷いがそのまま悟りにつながることを示し、外見は忿怒(ふんぬ)暴悪の形をとるが、内面は愛をもって衆生(しゅじょう)を解脱させる。三目六臂(ろっぴ)で、種々の武器を手にした姿に表す。愛染王。

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百科事典マイペディアの解説

愛染明王【あいぜんみょうおう】

仏と人との間にあり,愛によって両者を結ぶと考えられる明王。大日如来または金剛愛菩薩を本地とし,その仮現(けげん)と考えられる。その愛はすべての悪を降伏(ごうぶく)するもので,三面六臂(ろっぴ)の忿怒(ふんぬ)の形をし武具を持つ。
→関連項目善円明王

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

愛染明王 あいぜんみょうおう

密教の明王。
人間の愛欲をそのままに悟りにみちびく。一面三目六臂(ろっぴ)の赤色忿怒(ふんぬ)像であらわされ,平安時代初期に日本につたわる。のちに恋愛成就,美貌をねがう庶民の信仰の対象となる。奈良西大寺の木像,根津美術館の画像が有名。

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世界大百科事典 第2版の解説

あいぜんみょうおう【愛染明王】

サンスクリットRāga‐rājaの訳。真言密教で信仰する明王の一つ。愛欲と貪染(とんぜん)をそのまま浄菩提心とする三昧(さんまい)に住する尊で,金剛薩埵または金剛王,金剛愛菩薩の化身とされる。平安初期に日本に伝えられ,平安後期以降の作例が現存する。通形は三目六臂,赤色の忿怒(ふんぬ)の像で,蓮華座上に結跏趺坐(けつかふざ)する。六臂の中の中央左右に弓と矢を持ち,蓮華座の下方に宝瓶がある。白描図像には種々の形式の像が見られるが,現存作品を見ると図像の上の形式的展開は顕著ではなく,一般的な形のほかには円珍請来と伝える像が知られる程度である。

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大辞林 第三版の解説

あいぜんみょうおう【愛染明王】

Rāgarāja〕 愛欲の煩悩がそのまま悟りにつながることを示す明王。像は一般に、全身赤色、三目六臂さんもくろつぴで弓矢などを持ち、顔には怒りの相を表す。愛染法の本尊。恋愛成就の神として水商売の女性や、「藍染」に通じるところから染め物業者の守り神として信仰される。愛染王。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

愛染明王
あいぜんみょうおう

密教の忿怒(ふんぬ)部あるいは明王部に属する尊像。愛染王とも略称される。サンスクリット名はラーガラージャRga-rjaで、ラーガ(羅我と音訳する)とは赤色、情欲、愛染の意、ラージャ(羅闍)は王の意。金剛薩(こんごうさった)(金剛王菩薩(ぼさつ)と同体)の所変で17尊を眷属(けんぞく)とするが、まれには愛染曼荼羅(まんだら)にみられるように37尊を眷属とする。愛染明王の意味は、人間がもっている愛欲をむさぼる心(愛欲貪染(とんぜん))を金剛薩の浄菩提心(じょうぼだいしん)の境地(三昧(さんまい))にまで高めた状態をいう。すなわち煩悩(ぼんのう)即菩提のことで、人の煩悩も仏の悟りの智慧(ちえ)に等しいことを意味する。通常は日輪を光背にした四臂(よんぴ)像あるいは六臂像が多いが、両界(りょうかい)曼荼羅中にはない。『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経(こんごうほうろうかくいっさいゆがゆぎきょう)』によると、六臂像は身色が赤く、三目で、頭上に獅子冠(ししかん)、天帯(横帯)をつける。持物(じもつ)は左第一手は拳(こぶし)(儀軌には「彼」と記す)、第二手は五鈷杵(ごこしょ)、第三手は金剛弓(箭(や))、右第一手は蓮華(れんげ)、第二手は五鈷杵、第三手は金剛箭。像は宝瓶(ほうびょう)上にある赤色の蓮台(れんだい)に結跏趺坐(けっかふざ)する。異形像としては、円珍本の系統に、火焔(かえん)光背で天に向かって弓を引く「天弓愛染明王像」があり、さらに中世には不動明王と合体した「両頭愛染明王」があり、独自の信仰をもつ。[真鍋俊照]

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世界大百科事典内の愛染明王の言及

【愛染王法】より

愛染明王を本尊にして修する密教の修法。主として敬愛(和合親睦すなわち人の相愛・信服,夫婦の和合,仏法への帰依),降伏(ごうぶく)(人や仏法を害する悪を止め,兵乱の難をしずめること)などに功験があるとされる。…

【煩悩】より

…しかし,ここには危険な落し穴もあるわけだから,信仰の確立と衆生済度の菩薩行(ぼさつぎよう)実践という大乗仏教の存立条件が充足されていなければならない。また密教は煩悩を肯定するといわれ,愛染(あいぜん)明王は煩悩即菩提を表示するとされるが,これは即身成仏して,この身このまま仏となった立場からの煩悩肯定であって,厳しい修行と禁欲の実践なしの煩悩肯定は,左道(さどう)密教として排除されてきた。【五来 重】。…

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