揺する(読み)ユスル

デジタル大辞泉 「揺する」の意味・読み・例文・類語

ゆす・る【揺する】

[動ラ五(四)]
ゆり動かす。「ぶらんこを―・る」「からだを―・って笑いこける」
人をおどして金品を出させる。「盛り場で金を―・られる」
ゆれ動く。ゆれる。
天地―・りて響く」〈宇津保・吹上下〉
一斉に騒ぐ。大騒ぎをする。
「家―・りてとりたるむこの来ずなりぬる」〈能因本枕・二二〉
[補説]2は、「強請る」とも当てて書く。
[可能]ゆすれる
[類語](1揺らす揺さぶる揺すぶる揺り動かす揺り返す揺る揺るがす揺れる動く揺らぐぐらつく動かす振れる振動する上下する微動する揺れ震動縦揺れ横揺れ/(2巻き上げるふんだくる奪う取る取り上げる分捕ぶんどかすめ取るもぎ取る引ったくるぶったくるさらっ攫う横取りする強奪する奪取する略取する略奪する収奪する簒奪さんだつする剝奪はくだつする吸い取る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「揺する」の意味・読み・例文・類語

ゆす・る【揺】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
    1. 揺れ動く。震動する。ゆるぐ。ゆれる。
      1. [初出の実例]「何心なくかきならすに、天地ゆすりて響く」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)
    2. こぞって騒ぐ。揺れ動くほどに大騒ぎをする。皆が動揺して乱れ騒ぐ。どよむ。
      1. [初出の実例]「其の楽を上下ゆすりてすれば、鳥も折れ返りて舞ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. ゆり動かす。ゆさぶる。ゆすぶる。また、比喩的に、気持を動揺させる。
      1. [初出の実例]「御足跡作る石の響きは天に到りつちさへ由須礼(ユスレ)」(出典:仏足石歌(753頃))
      2. 「わずかな変化が蕗の心をゆするのだった」(出典:湯葉(1960)〈芝木好子〉)
    2. 江戸時代の遊里で、おどしたり口説をしかけたりしてその心をためしさぐる。
      1. [初出の実例]「ゆする 心ただしき人を、おとしかけつ、くぜつしかけつ、心を見る貌なり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)
    3. ( 強請 ) おどしたり、いいがかりをつけたりして、金品などをむりやりに取り上げる。強請する。
      1. [初出の実例]「ままよ、いはばわづかに五十両。しかり立してゆすられて家出やせんとあんじられくふた顔してすませしが」(出典:浄瑠璃・椀久末松山(1710頃)上)
    4. 美しく着飾る。外見を飾りたてる。見栄を張る。また、しゃれる。凝る。
      1. [初出の実例]「むかふもいまは三丸屋といふかまへにして、座敷などもおおいにゆすったある」(出典:洒落本・北華通情(1794))
    5. 意地を張る。
      1. [初出の実例]「ゆするとは いじづよいこと」(出典:新撰大阪詞大全(1841))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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