揺る(読み)ユル

デジタル大辞泉 「揺る」の意味・読み・例文・類語

ゆ・る【揺る】

[動ラ五(四)]
揺り動かす。ふるい動かす。ゆすぶる。
背広の肩を抑えて、前後に―・りながら」〈漱石それから
(「淘る」「汰る」とも書く)水の中などで、ふるい動かして選び分ける。「砂金を―・る」
物が揺れ動く。特に、地震が起こる。
「地震が―・る度に」〈漱石吾輩は猫である
[動ラ下二]ゆれる」の文語形
[類語]揺らす揺する揺さぶる揺すぶる揺り動かす揺り返す揺るがす揺れる動く揺らぐぐらつく動かす振れる振動する上下する微動する揺れ震動縦揺れ横揺れ

よ・る【揺る】

[動ラ四]ゆれる。ゆる。
おみの子の八符の柴垣とよ地震なゐが―・りれむ柴垣」〈武烈紀・歌謡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「揺る」の意味・読み・例文・類語

ゆ・る【揺・淘・汰】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
    1. 物の全体がゆらゆらと動く。ふるい動く。ゆらめき動く。動揺する。特に、地震で地上の物が動揺する。
      1. [初出の実例]「此年の卯月十四日の夜中の比、ないゆり申候事言語道断不言説に候」(出典:勝山記‐天文一八年(1549))
    2. ぐずぐずする。ためらう。たゆたう。躊躇する。
      1. [初出の実例]「いらへばそれやなどいひゆりて、とみにもいはねば」(出典:類従本清少納言集(1028頃か))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
    1. ふるい動かす。ゆさゆさと振り動かす。ゆさぶる。動揺させる。また、水をゆすり動かす。ただよわせる。
      1. [初出の実例]「身をゆりて、舞ふよしをする也」(出典:名語記(1275)九)
      2. 「折から草木を烈しく揺(ユ)って野分の風が吹いて来た」(出典:武蔵野(1887)〈山田美妙〉上)
    2. ( 「淘」「汰」とも書く ) 水中空中で、ゆさぶりながら選び分ける。ゆらして選別する。
      1. [初出の実例]「河波の黄金を淘ると見えつるは岸なる菊の洗ふなりけり〈静賢〉」(出典:永久二年九月三井寺歌合(1114))
    3. 日本音楽声楽器楽で、一つの音を波のように上げ下げさせる。→揺り
      1. [初出の実例]「うたひやうの事〈略〉一ちぢめ〔さきをまへへ〕一ゆる〔上、下十四、十五〕」(出典:わらんべ草(1660)二)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙ゆれる(揺)

よ・る【揺】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ゆれる。ゆれ動く。震え動く。ゆる。
    1. [初出の実例]「臣の子の 八符の柴垣 下とよみ 地震(なゐ)が与釐(ヨリ)来ば 破れむ柴垣」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)

いぶ・る【揺】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「ゆぶる(揺)」の変化した語 ) 揺り動かす。特に、赤子を泣きやませるために揺すってあやす。
    1. [初出の実例]「孫(おまご)はいぶられて、何心なく笑ふ」(出典:御伽草子・福富長者物語(室町末))

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