ぐらつく(読み)グラツク

デジタル大辞泉 「ぐらつく」の意味・読み・例文・類語

ぐら‐つ・く

[動カ五(四)]
安定した状態にあるべきものが、不安定に揺れ動く。ぐらぐらする。「いすが―・く」「奥歯が―・く」
気持ちや考えなどが、揺れ動いて定まらなくなる。「自信が―・く」「信念が―・く」
[類語](1動く揺れる揺らぐ動かす振れる振動する上下する微動する揺らす揺する揺さぶる揺すぶる揺り動かす揺り返す揺る揺るがす揺れ震動縦揺れ横揺れふらふらぐらぐらよたよたよろよろゆらゆらふらつくくらっとくらくらくらりぐらりぐらっとめまい立ちくらみ眩暈目がくらむ目が回るふらっと/(2動揺波立つたゆたう乱れる動ずる浮き足立つ揺さぶる揺るがすぐらぐら悩乱惑乱

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精選版 日本国語大辞典 「ぐらつく」の意味・読み・例文・類語

ぐら‐つ・く

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 ( 「つく」は接尾語 )
  2. 不安定に動く。ぐらぐらゆれ動く。
    1. [初出の実例]「ツクエガ guratsuite(グラツイテ) カキニクイ」(出典:改正増補和英語林集成(1886))
  3. 心が動揺する。気持が定まらなくなる。
    1. [初出の実例]「辛抱がぐらつくと、諸事の心得違ひがここから出来る」(出典:古道大意(1813)下)
  4. めまいがする。くるめく。
    1. [初出の実例]「眼がグラついて思はずのめりさうにした」(出典:湯ケ島ゆき(1907)〈国木田独歩〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぐらつく」の意味・わかりやすい解説

グラック
ぐらっく
Julien Gracq
(1910―2007)

フランス作家。本名ルイ・ポアリエ。ロアール川下流の小村サン・フロラン・ル・ビエイユに生まれる。ナント、ついでパリの高等中学校(リセ)に学び哲学者アランの教えを受ける。パリ高等師範卒業。処女作『アルゴールの城にて』(1938)は、ブルトンによりシュルレアリスムの一到達点として評価された。1939年陸軍少尉として従軍、翌年独軍捕虜となるが病を得て帰国。以後1969年まで各地の高校の歴史地理教授を歴任するかたわら、密度の高い作品を発表。彫琢(ちょうたく)された文体宿命啓示の予感に満ちた展開、完成度の高さは、つねに熱烈な愛読者を得た。小説陰鬱(いんうつ)な美青年』(1945)、『シルト岸辺』(1951)、『森のバルコニー』(1958)、『半島』(1970)、戯曲『漁夫王』(1948)、散文詩集『大いなる自由』(1947)、評論集『偏愛』(1961)、『花文字』(1967)、『読みながら書きながら』(1981)、『街道の手帖(てちょう)』(1992)などがある。

天沢退二郎

『安藤元雄訳『アルゴールの城にて』(1985・白水社)』『安藤元雄訳『シルトの岸辺』(ちくま文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ぐらつく」の意味・わかりやすい解説

グラック
Julien Gracq
生没年:1910-

フランスの小説家,詩人,評論家。本名ルイ・ポアリエLouis Poirier。早くからブルトン,特にその作品《ナジャ》に魅惑され,さらにネルバルの夢幻界や中世ケルトの伝説的世界にも深く感応して,高校の地理学教師の職の暇々に,ゆっくりと静かに形成されていった現代まれに見る超俗的世界が,グラックの文学である。そこでは,現実が非現実に,外に表れているものが内に隠されているものに,日常的な語りが詩的表出に渾然と溶け合っている。その文学世界は,人間の宿命の劇が超時間的な構図で展開する場である。小説に《アルゴールの城にて》(1938),《陰鬱な美青年》(1945),《シルトの岸辺》(1951。同年のゴンクール賞を拒絶),《森のバルコニー》(1958),《半島》(1970),散文詩集に《大いなる自由》(1946),戯曲に《漁夫王》(1948),評論集に《偏愛の文学》(1961),《花文字》(1967,74)等がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぐらつく」の意味・わかりやすい解説

グラック
Gracq, Julien

[生]1910.7.27. サンフロランルビエイユ
[没]2007.12.22. アンジェ
フランスの小説家。本名 Louis Poirier。エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) に学び,1948年以来パリのリセ (高等中学校) で歴史を教えた。磨き上げた文体によって豊かな象徴的イメージを織りなす第1作『アルゴールの城』 Au château d'Argol (1938) ,『シルトの岸辺』 Le Rivage des Syrtes (1951,ゴンクール賞を辞退) ,『半島』 La Presqu'île (1970) などの詩的小説にはシュルレアリスムの深い影響が認められ,孤独と死の予感に満ちた重苦しい雰囲気は中世の伝説を思わせる。ほかに,散文詩集『大いなる自由』 Liberté grande (1948) ,評論『アンドレ・ブルトン』 André Breton (1948) ,『胃袋の文学』 Littérature à l'estomac (1950) など。

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百科事典マイペディア 「ぐらつく」の意味・わかりやすい解説

グラック

フランスの作家。本名Louis Poirier。地理の教師。小説《アルゴールの城にて》(1938年)でシュルレアリストとして出発,小説《シルトの岸辺》《陰鬱な美青年》《森のバルコニー》などで運命的なものを散文詩を思わせる文体で描いた。音楽的構造にもとづいた息の長い情景描写によって,登場人物の心象風景を詩的にうつしだした。

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