動かす(読み)ウゴカス

デジタル大辞泉 「動かす」の意味・読み・例文・類語

うごか・す【動かす】

[動サ五(四)]
物を他の位置に移したり、占めていた位置を変えたりする。また、配置地位などを変える。「箪笥たんすを―・す」「人事部から経理部へ―・す」
もとが固定しているものの一部を揺らす。震動させる。「風が梢を―・す」「首を左右に―・す」
機械などを作動させる。「モーターを―・す」
物事のようす・状態・内容を変える。「市民運動社会を―・す」「―・しがたい証拠
人の心に訴えて感動させる。気持ちをゆすぶる。「名演説に心が―・される」

㋐自分の目的にかなうよう人を行動させる。「思いのままに人を―・す」
㋑ものを有効に機能させる。運用する。「裏で金を―・して工作する」
[可能]うごかせる
[類語]動く振れる揺れる揺らぐ振動する上下する微動するぐらつく揺らす揺する揺さぶる揺すぶる揺り動かす揺り返す揺る揺るがす揺れ震動縦揺れ横揺れ遣る

いごか・す【動かす】

[動サ五(四)]うごかす」の音変化。
「余り体を―・さないから、その所為かも知れません」〈紅葉金色夜叉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「動かす」の意味・読み・例文・類語

うごか・す【動】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 位置や地位を別の所に変える。また、別の状態に移す。
    1. (イ) 静止している状態のものを別の位置に移す。
      1. [初出の実例]「其の刀をな動かしたまひそ」(出典:古事記(712)中)
    2. (ロ) ある状態や結果を別の状態に変化させる。また、物の場所や人の地位、仕事などを変える。
      1. [初出の実例]「命運既に帰する所ありて復た動かすべからざるものとなれり」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉五)
      2. 「甲から乙に気を移し、乙から丙に心を動(ウゴ)かさぬものは」(出典:それから(1909)〈夏目漱石〉一一)
  3. 物を前後左右上下などに揺らす。振動させる。震動させる。比喩的に、大きな音などがあたりを響かせることにもいう。
    1. [初出の実例]「君待つとわが恋ひ居ればわがやどのすだれ動之(うごかシ)秋の風吹く」(出典:万葉集(8C後)四・四八八)
    2. 「雷ち鳴り地を動かす」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
  4. 気持をぐらつかせる。強く感動させる。
    1. [初出の実例]「ちからをもいれずして、あめつちをうごかし、目に見えぬ鬼神をも、あはれと思はせ」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    2. 「此妻、かたちよくて、見る人多く心をうごかす」(出典:発心集(1216頃か)六)
  5. 目的に添うようにある働きをさせる。人、からだ、組織、機械、乗り物などにその機能を発揮させる。操縦する。
    1. [初出の実例]「ただしたをうごかし、こゑをあぐるを」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
    2. 「下を向いたまま鋏(はさみ)を動かしてゐた」(出典:門(1910)〈夏目漱石〉二三)

いごか・す【動】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「うごかす(動)」の変化した語 ) 位置や状態を変える。また前後左右などに揺らす。
    1. [初出の実例]「さらに、いこかしたてまつるべき、きしょくも、なかりければ」(出典:御伽草子・浦風(室町時代物語集所収)(室町末))
    2. 「娘をそばに引付置、一寸もいごかさず」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)三)

おごか・す【動】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 ( 「うごかす(動)」の変化した語 ) 動くようにする。うごかす。
    1. [初出の実例]「時に鶺鴒(にはくなふり)有り。飛び来りて其の首尾を揺(ヲコカス)」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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