デジタル大辞泉 「揺」の意味・読み・例文・類語 よう【揺〔搖〕】[漢字項目] [常用漢字] [音]ヨウ(エウ)(呉)(漢) [訓]ゆれる ゆる ゆらぐ ゆるぐ ゆする ゆさぶる ゆすぶるゆらゆらとゆれ動く。「揺曳ようえい・揺揺・揺籃ようらん/蕩揺とうよう・動揺」[難読]揺蕩たゆたう・揺籃ゆりかご ゆ【▽揺】 琴などを弾くとき、余韻を波うたせるために左手の指先を軽く弦に当てて揺すること。また、その奏法や音。「―の音ね深う澄ましたり」〈源・明石〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「揺」の意味・読み・例文・類語 ゆすり【揺】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆする(揺)」の連用形の名詞化 )① ゆり動かすこと。また、大騒ぎすること。[初出の実例]「あの無頓着さうな肩のゆすりの蔭に」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉前)② ( 強請 ) おどし。ねだり。[初出の実例]「菟角分別いたしたと座を立てのきけるは、いま時花(はやる)ゆすりといふ仕かけなるに」(出典:浮世草子・好色盛衰記(1688)二)③ 高慢なこと。いばっていること。[初出の実例]「万吉は高慢(ユスリ)ぎみにて、ヱヱしれた事じゃ飯斗り喰て居られるもの歟」(出典:談義本・身体山吹色(1799)三)④ 身なりなどに凝ること。[初出の実例]「『兄さんおまへの其の形はえ』『是か、えいゆすりで有らうがな、けふよりはお侍のちゃきちゃき』」(出典:浄瑠璃・蝶花形名歌島台(1793)四)⑤ 風雅なこと。しゃれていること。[初出の実例]「扨琶琵ほどゆすりなものはござりますまいな」(出典:洒落本・昇平楽(1800))⑥ 「ゆすりじ(揺字)」の略。 ゆり【揺】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆる(揺)」の連用形の名詞化 )① ゆれうごくこと。また、ゆさぶること。動揺。震動。ゆれ。[初出の実例]「第三の循環は、日月星常に東西を一回せしむるに、南北へ少ゆること也。此ゆりは数百年の例しを以て見立たるゆり也」(出典:乾坤弁説(1656)利)「地震がすれば世直し万歳楽(まんざいらく)、それでも揺りが止まねば跣足(はだし)で庭へ駈け出して潰されぬ用心」(出典:当世商人気質(1886)〈饗庭篁村〉二)② 巫女(みこ)が、死霊の口寄せの時、弓でその上をうち鳴らす具。〔俚言集覧(1797頃)〕③ 日本の声楽や器楽で、一つの音を細かく上げ下げする定型的な旋律。声明(しょうみょう)・謡曲・義太夫節などには種類が多い。[初出の実例]「上げて遣る所をば延ぶると云、言ひ流す所をば永(なが)むると云也。〈略〉ゆりは十也。六・四也」(出典:申楽談儀(1430)祝言の音曲)④ 米を簸(ひ)るための木製の箕(み)。〔日葡辞書(1603‐04)〕 ゆれ【揺】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆれる(揺)」の連用形の名詞化 )① ゆれること。ゆれる程度。ゆり。動揺。[初出の実例]「車の揺れの余りに烈しかりしため」(出典:妾の半生涯(1904)〈福田英子〉三)② 一定しないで、不安定な状態にあること。「ことばのゆれ」[初出の実例]「ふり切れない過渡期の揺れの中に低迷してゐるのが、今日の一般の青年たちではないだらうか」(出典:文学志望者の今昔(1932)〈菊池寛〉) ゆるぎ【揺】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆるぐ(揺)」の連用形の名詞化 )① ゆるぐこと。ゆれること。動揺。[初出の実例]「打ち叩き、押し引けど、内外につめてければ、ゆるぎだにせず」(出典:落窪物語(10C後)二)② どのようにでも動く状態。不安定な様子。[初出の実例]「城井の会計に、ちっとでも余裕(ユルギ)があるなら兎も角も」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下) ゆらぎ【揺】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ゆらぐ(揺)」の連用形の名詞化 )① 物や光・心がゆれ動くこと。動揺すること。[初出の実例]「臙脂色は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命」(出典:みだれ髪(1901)〈与謝野晶子〉臙脂紫)② 数学で、ある量の平均値は巨視的には一定であっても、微視的には平均値と小さなずれがあること。また、そのずれ。気体分子の熱運動、光の散乱、ブラウン運動などにみられる。 ゆ【揺】 〘 名詞 〙 琴(きん)や箏(そう)などで、余韻を波うたせるために左の手の指先で絃を左右(琴)、または上下(箏)に幾回かゆすること。また、その音。[初出の実例]「手づかひ、いといたう唐めき、ゆの音ふかう澄ましたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石) ゆさ‐ばり【揺】 〘 名詞 〙 =ゆさぶり(揺)③[初出の実例]「梅がえにゆさはりしたふ鶯よ梅のむばらに尻あやふたへ 顕昭云、ゆさばりとはゆさぶりと云あそび也」(出典:袖中抄(1185‐87頃)一七) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「揺」の読み・字形・画数・意味 揺常用漢字 12画(旧字)搖人名用漢字 13画 [字音] ヨウ(エウ)[字訓] ゆれる・うごく[説文解字] [字形] 形声声符は(よう)。は缶(ほとぎ)の上に肉をおく形。何かを祈るときの行為であるらしい。〔説文〕十二上に「動くなり」とあり、ゆり動かすような、不安定な状態をいう。〔詩、王風、黍離(しより)〕「中心搖搖たり」の〔伝〕に「憂ふるも、(うつた)ふる無きなり」とみえる。〔爾雅、釈訓〕に字を「」に作り、「憂ふるもぐる無きなり」とあって、声義の通ずる字である。[訓義]1. ゆる、ゆれる、ゆらぐ。2. うごく、うごかす。3. おこす、のぼる、あがる、はやい。4. 遥と通じ、はるか。[古辞書の訓]〔名義抄〕搖 ウゴク・ウゴカス・フルフ・トトノフ・ソコナフ・ウカブ・ウレフ・ツマヨル・スグル[語系]搖・遙(遥)jiは同声。搖に遙疾の意がある。また掉dyは声義近く、〔説文〕十二上に「掉(たう)は搖(うご)かすなり」とあって、揺動する意。逍遙si-ji、相羊siang-jiangはそれぞれ畳韻、形況の語である。[熟語]揺握▶・揺曳▶・揺悦▶・揺撼▶・揺挙▶・揺響▶・揺兀▶・揺作▶・揺膝▶・揺車▶・揺手▶・揺首▶・揺▶・揺鐘▶・揺心▶・揺唇▶・揺精▶・揺舌▶・揺扇▶・揺艇▶・揺頭▶・揺盪▶・揺櫂▶・揺掉▶・揺▶・揺動▶・揺波▶・揺尾▶・揺筆▶・揺風▶・揺吩▶・揺鞭▶・揺溶▶・揺▶・揺揺▶・揺漾▶・揺落▶・揺籃▶・揺乱▶・揺櫓▶[下接語]雲揺・金揺・軽揺・傾揺・細揺・招揺・消揺・震揺・扇揺・超揺・揺・動揺・飛揺・漂揺・飄揺・扶揺・歩揺・乱揺・櫓揺 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報