日田市(読み)ヒタシ

デジタル大辞泉 「日田市」の意味・読み・例文・類語

ひた‐し【日田市】

日田

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「日田市」の解説

日田市
ひたし

面積:二六九・二一平方キロ

大分県の北西部に位置する。南北二四・八キロ、東西二二・三キロ、市域の七七・八パーセントが山岳林野地帯で、杉を中心とした植栽林は日本三大美林の一つにあげられる。北は英彦ひこ山群の岳滅鬼がくめき(一〇三六・八メートル)を境に福岡県田川たがわ添田そえだ町、南は日田郡天瀬あまがせ町・大山おおやま町・前津江まえつえ村、東は玖珠くす郡玖珠町・下毛郡山国やまくに町、西は福岡県朝倉あさくら宝珠山ほうしゆやま村・杷木はき町、同県浮羽うきは郡浮羽町に接する。東から西に流れる三隈みくま(筑後川の市域での通称)は玖珠川・大山川が合流し本流となり、英彦山を源とする花月かげつ川や玖珠郡境からの有田ありた川、福岡県からの大肥おおひ川、日田郡からの高瀬たかせ川などを合せ、最西端の夜明よあけダムを越え、福岡県に入る。JR久大本線・日田彦山線、国道二一〇号・二一一号・二一二号・三八六号が通り、平成二年(一九九〇)には九州横断自動車道(大分自動車道)が開通した。現市域は古代以来日田郡域に属したが、「日田」の地名は「豊後国風土記」にみえるのが早い例である。

〔原始・古代・中世〕

旧石器・縄文・弥生各時代の遺跡や古墳は周辺の台地や河川に沿って多く発見され、石棺・土壙墓など二〇〇基余が発見された草場くさば第二遺跡、豪族居館跡などの遺構を含む小迫辻原おざこつじばる遺跡をはじめ、国指定・県指定史跡となる遺跡、古墳が多くみられる。「豊後国風土記」には日下部君の祖が朝廷に靱部として仕えたことを記しているが、同氏に代わって日田郡司となった大蔵氏が平安時代以降支配した。豊後国弘安田代注進状には市域を中心に比定される日田庄・大肥庄や、竹田たけだ石井いしい今泉いまいずみの各別符や田島たしま別符などがみえる。大蔵氏は日田氏を称し鎌倉時代以来日田の地頭としてその地位を保ったが、文安元年(一四四四)日田永秀の没後、相続争いから家系は断絶する。のち大友親満が日田郡司職を継承するが、天文一五年(一五四六)その大友氏も断絶、郡老八人(坂本・財津・堤・高瀬・羽野・石松・佐藤・世戸口諸氏)による支配が始まり、以後大友氏配下として筑前・筑後の戦をはじめ、各地の戦いに奔走することになる。

〔近世〕

文禄二年(一五九三)大友氏改易後太閤蔵入地となり、同三年宮木長次郎が日隈ひのくま城を築き支配する。慶長元年(一五九六)毛利高政が二万石(日田郡・玖珠郡各一万石)の大名として入部し、同五年関ヶ原の戦ののち日隈城には黒田孝高が入城、家臣の栗山利安が在城し一年日田郡を支配した。


日田市
ひたし

2005年3月22日:日田市が日田郡上津江村中津江村前津江村大山町天瀬町編入
【上津江村】大分県:日田郡
【中津江村】大分県:日田郡
【前津江村】大分県:日田郡
【大山町】大分県:日田郡
【天瀬町】大分県:日田郡
【日田市】大分県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日田市」の意味・わかりやすい解説

日田〔市〕
ひた

大分県西部,筑後川上流の大山川流域に広がる市。西は福岡県に,南は熊本県に接する。 1940年市制。 1955年東有田村,小野村,大鶴村,夜明村,五和村の5村を編入。 2005年天瀬町,大山町,上津江村,中津江村,前津江村の2町3村を編入。市街地は三隈川と支流の花月川の合流点付近,日田盆地のほぼ中央部に開ける。江戸時代初めから天領日田の中心として発達。特に明和4 (1767) 年に日田代官が西国郡代となり,九州諸大名監察の任務を帯びるようになると,城下の御用商人たちはその権威のもとで大名貸しなどにより富を蓄積,日田は九州の金融の中心となった。市域南部一帯に日田杉,津江杉として知られる日本有数のスギの美林を控え,工業も林産加工が中心で,家具,下駄,建具などを特産。北部には小鹿田焼の窯元がある。農業は米作が行なわれるほか,シイタケ,高冷地野菜を産する。中部玖珠川の渓谷沿いに天ヶ瀬温泉湯の釣温泉がある。広瀬淡窓の墓,咸宜園跡,穴観音古墳,法恩寺山古墳群,ガランドヤ古墳 (いずれも国指定史跡) のほか,月隈城跡,永興寺などの名所・旧跡がある。景勝地も多く,耶馬日田英彦山国定公園津江山系県立自然公園に属する。中津江に下筌ダムがある。 JR久大本線,日田彦山線,国道 210,211,212号線などが通り,大分自動車道インターチェンジがある。面積 666.03km2。人口 6万2657(2020)。

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