折る(読み)オル

デジタル大辞泉 「折る」の意味・読み・例文・類語

お・る〔をる〕【折る】

[動ラ五(四)]
棒状板状のものを鋭角的に曲げる。また、そのようにして切り離す。「指を―・って数える」「枝を―・る」
紙や布などの平面状のものを畳んで重ねる。「新聞紙を二つに―・る」
紙や布などを畳み重ねて物の形を作る。「千羽鶴を―・る」
(「筆をおる」などの形で)文筆の業をやめる。
頑固な気持ちを弱める。くじく。「鼻柱を―・る」「を―・る」
(「骨をおる」などの形で)あるもののために苦労する。「友人の職探しに骨を―・る」
波が幾重にも重なって砕ける。
「今日もかも沖つ玉藻白波八重―・るが上に乱れてあるらむ」〈・一一六八〉
[可能]おれる
[動ラ下二]おれる」の文語形
[下接句]を折る陰に居て枝を折る高木は風に折らる腰を折るせつを折る大木は風に折られる月のかつらを折るつのを折る出端ではなを折る七重ななえひざ八重やえに折る鼻を折るひざを折る一骨ひとほね折る筆を折るペンを折る骨を折る指を折る
[類語]へし折る折る折れる畳む折り畳む折り重ねる折れ曲がる折り曲げる曲がる折損屈折曲折屈曲ちぎれる切り離す張り裂ける断ち切る真っ二つばらすぽっきりぽきりぼきぼきぽきぽきぼきりぽきんぼきんばきばきぱきぱきめりめりみりみりばりばり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「折る」の意味・読み・例文・類語

お・るをる【折】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. [ 一 ] 一直線、または一平面のものを、ある点または線で二線分、または二平面のものにする。
      1. (棒状の物を)二重になるように曲げる。また、手足や指などを関節部分から曲げることにもいう。
        1. [初出の実例]「鯨魚(いさな)取り 海をかしこみ 行く船の 楫(かぢ)引き折(をり)て」(出典万葉集(8C後)二・二二〇)
        2. 「手ををりてあひ見し事を数ふればとをといひつつ四つは経にけり」(出典:伊勢物語(10C前)一六)
      2. 曲げて二つの部分に切り離す。
        1. (イ) 押し曲げて離し取る。手折る。
          1. [初出の実例]「即ち其の木を折(をり)て取り出で活(い)かして」(出典:古事記(712)上)
        2. (ロ) 骨などに強い外力がかかって、くだけたり、二つの部分に離れたりして損傷する。
          1. [初出の実例]「之を地に擲(な)げて遂に其の指を折(ヲ)れり」(出典:法華義疏長保四年点(1002)一)
      3. ( 紙や布などについて ) 折目をつける。折って形を作る。折りたたむ。
        1. [初出の実例]「この右近物をるとて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
      4. 折句を作る。
        1. [初出の実例]「かきつばたいたまぬやうに公家は折(をり)」(出典:雑俳・柳多留‐一三(1778))
    2. [ 二 ] [ 一 ]の意を比喩的に用いる。
      1. 心を曲げる。気持をくじく。
        1. [初出の実例]「ガヲ voru(ヲル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      2. ( 「骨を折る」の形で ) 尽力する。苦労する。
        1. [初出の実例]「此に於て骨を折(ヲリ)経典を書写したまへり」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)三)
      3. 動作や物事のつながりを分断して、続かないようにする。「筆を折る」
        1. [初出の実例]「けれど、是に話の先を折られて了って」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 (波が)くずれるように寄せては返す。折れ返ってたたまる。
    1. [初出の実例]「けふもかも沖つ玉藻は白浪の八重折(をる)が上に乱れてあるらむ」(出典:万葉集(8C後)七・一一六八)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙おれる(折)

へず・るへづる【折・剥・削・听】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「へつる」とも )
  2. 少量を削り取る。けずる。そぐ。はつる。へぐ。
    1. [初出の実例]「敬ひて天皇の詔勅の詞に順て新羅の所折之(ヘツれる)(〈別訓〉へくところの)国南の加羅、喙己呑等を抜き取りて」(出典:日本書紀(720)欽明二年七月(寛文版訓))
    2. 「僅の所をもへつり、行末のたそくと定て出る類あり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)四)
  3. 取って減らす。また、上前をはねる。かすめ取る。
    1. [初出の実例]「二合半のもり切をへつり」(出典:浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)上)

へつ・る【折・剥・削・斫】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙へずる(折)

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