木履(読み)きぐつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

木履
きぐつ

木沓とも書く。ヨーロッパではサボ sabot,クロッグなどと呼ばれる製の靴。前2世紀頃から用いられた雨天用の靴で,ヨーロッパ,インド,中国,朝鮮,日本 (平安時代以後) などで用いられた。ヤナギクルミブナなどの木材を乾燥させ,これをくりぬいてつくる。日本で正徳年間 (1711~15) 頃から子女の間にみられたぽっくりは,この木をはいたときの音ボクリから転訛した名称である。

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デジタル大辞泉の解説

ぼく‐り【木履】

《「ぽくり」とも》
浅い木ぐつ。
足をのせる木の台に鼻緒をつけた履物。下駄・足駄の類。
ぽっくり(木履)」に同じ。

ぽっく‐り【木履】

《「ぼくり」の音変化》女児用の駒下駄(こまげた)の一。厚い台の底をくりぬき、後ろを丸く、前部を前のめりにし、漆を塗ったもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

きぐつ【木履】

木沓とも書かれる。広義には木製のはきもの全般を指すが,狭義には桐材などをくり抜き,甲の部分をおおうように作った浅いこしらえのはきもの(浅沓)。木履はのちにはボクリと発音し下駄の類も指すようになった。平城京址から杉の一木作りですりへった歯のついた子ども用木ぐつが出土しており,朝鮮半島のナマクシン(木鞋)に似ているところから,大陸より伝わったものと思われる。奈良時代の《正倉院文書》によると,経を写す経師(きようじ)や文字の誤りを見る校生(こうしよう),書画を表具にする装潢(そうこう)に支給されているので,冬の板の間や土間での仕事に履いたものであろう。

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大辞林 第三版の解説

ぼくり【木履】

〔「ぽくり」とも〕
木製のはきもの。「ぽっくり」に同じ。
下駄。足駄。

ぽっくり【木履】

〔「ぼくり」の転〕
駒下駄こまげたの一種。材の底をくりぬき、後ろ側を丸くし前部を前のめりにして漆で黒や赤に塗ったもの。主に少女が用いる。ぼっくり。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぼく‐り【木履】

〘名〙 (「ぽくり」とも)
① 木製の履物。〔羅葡日辞書(1595)〕 〔貫休‐思匡山賈匡詩〕
② あしだ。高下駄。
※甲陽軍鑑(17C初)品四〇下「ぼくりはく人ぬぎたらば、あなたは草履をぬぎ」
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一「天鵞絨の鼻緒ついたる木履(ボクリ)穿きつつ」

ぼっく‐り【木履】

〘名〙 (「ぼくり」の変化した語。「ぽっくり」とも) 下駄の一つ。台の底をくり抜き、うしろを丸く、前部を前のめりにしたもの。ふつう、黒や朱の漆を塗る。多く少女が用いる。ぽっくりげた。
※二人女房(1891)〈尾崎紅葉〉中「木履(ポックリ)が何寸減ってゐるとか、精細に観察して」

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世界大百科事典内の木履の言及

【木履】より

…広義には木製のはきもの全般を指すが,狭義には桐材などをくり抜き,甲の部分をおおうように作った浅いこしらえのはきもの(浅沓)。木履はのちにはボクリと発音し下駄の類も指すようになった。平城京址から杉の一木作りですりへった歯のついた子ども用木ぐつが出土しており,朝鮮半島のナマクシン(木鞋)に似ているところから,大陸より伝わったものと思われる。…

【下駄】より

… 下駄は古くはアシダと呼ばれ,足下から名付けられたことが《和名抄》によってわかる。また奈良時代の《東寺写経所解》(760)には木沓(きぐつ)と木履(ぼくり)が併記されているが,出土物には木を靴の形にくり抜いたものと,いわゆる今日の下駄の両方があることから,ボクリと呼ばれていたことがわかる。ゲタは下踏,下駄と書かれて江戸時代の文献から見られる新しい言葉であるが,橋桁や湯げた(腰掛台)など平板に2本の足をつけたものを古くよりケタまたはゲタと呼んできたことから,近世になってアシダやボクリもゲタと呼ぶようになった。…

※「木履」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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