松原神社(読み)まつばらじんじや

日本歴史地名大系 「松原神社」の解説

松原神社
まつばらじんじや

[現在地名]小田原市本町二丁目

小田原城の東南、東海道に面してある。祭神は日本武尊。旧県社。「風土記稿」は、古は鶴森明神とよばれ、天文年間(一五三二―五五)山王原さんのうはら村松原に出現した金仏十一面観音を本地仏としたとの伝承を記す。天文八年七月二九日の「松原大明神社中、供僧西光院」宛の北条氏綱社領寄進(県史三)に、「今度駿州動之上、令祈願処、無相違以本意願、令帰陣畢、之、相州西郡之内伊羅窪分弐拾貫文、為御神領、令奉納者也」とある。小田原衆所領役帳には小田原松原大明神領として「卅三貫二百文 西郡伊羅窪分 西光院」と記す。北条氏の崇敬あつく、のちに西光さいこう院の本山となる大工だいく町の蓮上れんじよう院には、

<資料は省略されています>

をはじめ天正年間(一五七三―九二)の五通の当社掃除普請に関する北条家朱印状(県史三)がある。

松原神社
まつばらじんじや

[現在地名]西宮市松原町

御手洗みたらし(東川)の左岸に鎮座。松原天神とも称し菅原道真を祀る。大宰府左遷の道真が休息した地と伝える。古代、付近はつの(都努)の松原(「万葉集」巻三・巻一七)と詠われた景勝地で、神社南には漢織あやはとり呉織くれはとりの松という老大樹があった。「日本書紀」応神天皇三七年条・四一年条に縫工女を求めて呉国に派遣された阿知使主が、穴織(漢織)・呉織ら三工女を連れて武庫むこに着いたことがみえ、このとき漢織・呉織の松に船のとも綱をつないで上陸したという伝承がある。

松原神社
まつばらじんじや

[現在地名]佐賀市松原二丁目

俗称「日峯につぽうさん」。佐賀藩祖鍋島直茂(日峯)を祀る。旧県社。

明和八年(一七七一)、八代藩主治茂の藩政改革にあたっての復古主義のあらわれが日峯社(松原神社)造営であった。領民二万人を動員して松原小路まつばらくうじの土手の内を開いて社地とし、翌安永元年(一七七二)五月二六日に成就した。社前の石橋も同年五月一五日に完成している。京都の吉田家に働きかけて明神号の授与を特別に配慮してもらったが、文化一四年(一八一七)直茂の祖父清久と夫人石井氏を合祀してから日峯社を松原神社と改めた。

松原神社
まつばらじんじや

[現在地名]春日井市東山町

祭神は高皇霊命・稚牟須比命・大宮比売命・倉稲魂命・埴山比売命・猿田彦命。旧郷社。創建は不詳。尾張国神名帳の春日井郡二〇座のうちに「従二位上 松原天神」とある。「寛文覚書」の下原村の項には松原天神の記載はなく、稲荷大明神が記されている。社蔵の下原稲荷大明神縁起書によれば、「篠木庄下原之邑神社者、稲荷大明神也」とある。「尾張志」に「本国帳に春日井郡従二位松原天神とありて其所在今失せて知る人なし。

松原神社
まつばらじんじや

[現在地名]鹿児島市松原町

南林なんりん寺跡に鎮座。旧郷社。祭神は島津貴久(靖国崇勲彦之命)。明治二年(一八六九)南林寺は廃仏毀釈のため廃寺となり、翌年跡地に当社が創建された。貴久の影像を神体とする。当時一帯は広い海岸松原であったが、しだいに市街化が進み、南林寺墓地も大正八年(一九一九)に廃された。例祭日は四月五日・一〇月五日、ほかに節分追儺祭(二月三日)・歯の祭(六月四日)などがある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「松原神社」の解説

松原神社

佐賀県佐賀市にある神社。佐賀藩8代藩主治茂の時代に造営。鍋島家の始祖、鍋島直茂などを祀る(中殿)。1873年、北殿を建立、龍造寺隆信など龍造寺家を祀る。同年に建てられた南殿は1933年に創祀された佐嘉神社に遷座。旧称の「日峯大明神」は直茂の法名に由来。現在も親しみをこめて「日峯さん」と呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の松原神社の言及

【佐賀[市]】より

佐賀の乱(1874)で佐賀城は焼失したが,城下町や長崎路のおもかげをよくとどめ,佐賀城の鯱(しやち)の門,続き櫓や,大隈重信旧宅(史)など,名所旧跡が多い。春秋の〈日峰(につぽう)さん〉の祭りで知られる松原神社は,佐賀藩祖鍋島直茂などをまつり,鍋島直正をまつる佐嘉(さが)神社と並んで市街中心部に鎮座する。九州横断長崎自動車道が通る脊振山地南麓には,西隈古墳(史),銚子塚古墳(史)などが分布する。…

※「松原神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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