武内宿禰(たけしうちのすくね)(読み)たけしうちのすくね

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

武内宿禰(たけしうちのすくね)
たけしうちのすくね

記紀などにみえる伝承上の人物。『日本書紀』によると、父は孝元(こうげん)天皇の孫にあたる屋主忍男武雄心命(やぬしおしおたけおごころのみこと)、母は紀直(きのあたい)氏の祖先莵道彦(うじひこ)の娘の影媛(かげひめ)。『古事記』では、孝元(こうげん)皇子の比古布都押之信命(ひこふつおしのまことのみこと)を父、木国造(きのくにのみやつこ)の祖先宇豆比古(うずひこ)の妹の山下影日売(やましたかげひめ)を母と伝え、その7子は、波多(はた)、許勢(こせ)、蘇我(そが)、平群(へぐり)氏ら27氏の始祖とされている。景行(けいこう)、成務(せいむ)、仲哀(ちゅうあい)、応神(おうじん)、仁徳(にんとく)の五朝にわたって仕え、その間、景行朝には東国を巡察し、成務朝には初めて大臣となり、さらに仲哀の死後、神功(じんぐう)を助けて新羅(しらぎ)征討を行うとともに、麛坂(かごさか)・忍熊(おしくま)二王の反乱を鎮めたという。もちろん、これらはあくまで伝承の域を出ず、後代に創作された部分が少なくない。しかし、物語なかにはなお古い伝承的要素を残している部分もあり、その原像は5世紀代に活躍した幾人もの武将たちのイメージを1人の人物に集約したものであったと考えられる。

[塚口義信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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