湯の川温泉(読み)ユノカワオンセン

デジタル大辞泉 「湯の川温泉」の意味・読み・例文・類語

ゆのかわ‐おんせん〔ゆのかはヲンセン〕【湯の川温泉】

北海道函館市湯川町を中心に松倉川沿いにある温泉。泉質は塩化物泉

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日本歴史地名大系 「湯の川温泉」の解説

湯の川温泉
ゆのかわおんせん

松倉まつくら川の河口近くにある温泉。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。湧出温度摂氏六四度。現在二六軒の旅館・ホテルが営業している。承応三年(一六五四)松前藩主松前高広が眼病の治療のために湯治したという。「函館支庁管内町村誌」によると、松前藩主の嗣息鶴千代(一説に奥方)瀕死の病が湯治によって回復、報賽のため薬師堂を再建し、黄金の薬師像および鰐口を献じた。鰐口の年紀が承応三年であったとする。「蝦夷巡覧筆記」に上湯川かみゆのかわ村の温泉が記され、広く知られていたと思われる。谷「蝦夷紀行」寛政一一年(一七九九)八月一一日条に「下湯の川に至る。


湯の川温泉
ゆのかわおんせん

[現在地名]斐川町学頭

北流する門田もんでん川の西岸湯谷ゆのたににある、東・南・西の三方を山に囲まれた温泉。大国主命の子を懐妊した八上姫が、命を訪ねて出雲国へ旅をし、ここまできて疲れた体をこの温泉でいやしたと伝える。命に正妻がいるのを知った姫は、むすびの里(直江)男の子を産んだという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯の川温泉」の意味・わかりやすい解説

湯の川温泉(北海道)
ゆのかわおんせん

北海道南部、函館市(はこだてし)の中心街の東部にある温泉。津軽海峡に臨み、松倉川両岸に旅館が並ぶ。1654年(承応3)松前千勝丸(松前藩5代藩主高広)が湯治をしたといわれる。1869年(明治2)の箱館戦争傷病兵療養にも利用された。泉質は塩化物泉。付近には、温泉熱を利用した市立熱帯植物園、海水浴場、函館競馬場、トラピスチヌ修道院、見晴(みはらし)公園(国の名勝「香雪園」を含む)などがある。函館空港が近く空港からのバスのほか、函館駅から市電、バスが通じる。

[瀬川秀良]


湯の川温泉(島根県)
ゆのかわおんせん

島根県北東部、出雲(いずも)市斐川町学頭(ひかわちょうがくとう)にある温泉。門田(かどた)川上流にある冷泉で、泉質は硫酸塩泉。ホウ酸含有率が高く漂白作用があり、美肌温泉といわれる。JR山陰本線荘原(しょうばら)駅の南約1.5キロメートル、三方を丘陵に囲まれた地にある。

[野本晃史]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湯の川温泉」の意味・わかりやすい解説

湯の川温泉
ゆのかわおんせん

北海道南西部,函館市南西部の湯川町一帯にある温泉。松倉川に沿い,津軽海峡に臨む。泉質は食塩泉。泉温 67℃前後。松前藩の嗣子千勝丸が治癒して薬師堂を建立したのが始まりといわれる。戊辰戦争 (1868) では榎本武揚が傷病者の治療に使用した。付近はスズランの産地としても知られ,津軽海峡の風景が美しい。約 3km北の丘陵にトラピスト修道院の女子部 (トラピスチヌ修道院) がある北海道屈指の観光温泉地。

湯ノ川温泉
ゆノかわおんせん

島根県北東部,出雲市東部にある温泉。宍道湖に流れ込む斐伊川流域に位置する。オオクニヌシノミコト(大国主命)の妻であったヤカミヒメ(八上比売)が発見したと伝えられ,戦国時代には尼子氏将兵が傷の手当に利用したともいわれる。泉質は単純泉。泉温は 25℃。皮膚病,胃腸病,神経痛に効能があるほか,美人の湯とも呼ばれて美肌作用も高い。宿は田園のなかに点在し,静かな環境が静養客に好まれている。

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