(読み)ゲン

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  • 玄 xuán

デジタル大辞泉の解説

赤または黄を含む黒色。
老荘思想で説く哲理。空間・時間を超越し、天地万象の根源となるもの。
微妙で奥深いこと。深遠なおもむき。
「―を談じ理を折(ひら)く」〈太平記・一〉
《玄のつく名が多いところから》江戸時代の遊里で、医者のこと。また、医者を装ったところから、僧侶の客をいう。玄様。
「浅草あたりの―、色里にうかれゆきけるに」〈浮・常々草〉
常用漢字] [音]ゲン(呉) [訓]くろ くろい
赤または黄を帯びた黒色。「玄黄玄米
奥深くて暗い。「玄関玄室玄妙幽玄
奥深い道理。「玄学
はるかに遠い。「玄孫
[名のり]しず・しずか・つね・とお・とら・のり・はじめ・はる・はるか・ひかる・ひろ・ふか・ふかし
[難読]玄鳥(つばくらめ)玄孫(やしゃご)

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世界大百科事典 第2版の解説

《老子》第1章に〈玄のまた玄,衆妙の門〉とあるように,存在の根源にある幽遠にして神秘的なものをあらわす。色としては黒。それは〈天地玄黄〉といわれるように本来天の色である。また〈玄酒〉といえば祭礼のさいに酒の代用とされる水を意味する。哲学として〈玄〉をとくに強調したのは前漢末の揚雄が《易経》になぞらえてつくった《太玄経》であり,また《老子》の〈無〉に基礎をおく魏・晋の哲学は〈玄学〉とよばれた。【吉川 忠夫】

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大辞林 第三版の解説

黒い色。黒。
天。 黄に満ち-に満てり/三教指帰
老荘思想の根本概念。万物の根源としての道。
奥深くて微妙なこと。深遠な道理。 -を談じ理を折ひらく/太平記 1
陰暦九月の異名。
多く、名にのつくことからという 遊里で、医者のこと。また、多くの僧は遊里へ行く時に医者の姿をしていたことから、僧のこと。玄様。 浅草あたりの-いろ里にうかれゆきけるに/浮世草子・新吉原常々草

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① くろ。くろい色。赤みがかった黒色。〔詩経‐小雅・何草不黄〕
② 天。天の色。
※三教指帰(797頃)下「鐘振。花飄聯聯。燐燐爛爛。震震填填。溢目溢耳。満黄満玄」 〔易経‐文言伝〕
③ (形動) 奥深く、深遠であるさま。また、そのような道理やおもむき。
※新撰和歌(930‐934)序「故抽弘仁。至于延長。詞人之作。花実相兼而已。今之所撰玄之又玄也」 〔老子‐一〕
④ 老荘の説いた哲理。形も神仙も何も無く、空間・時間を超越して存在し、天地万象の根源となるもの。〔老子‐一〕
⑤ 陰暦九月の異称。〔撮壌集(1454)〕 〔爾雅‐釈天〕
⑥ やしゃご。孫の孫にあたるもの。玄孫。〔運歩色葉(1548)〕〔韋誕‐皇后親蚕頌〕
⑦ (多く、名に「玄」の字を用いたところから) 医者のことをいう、遊里でのことば。また、医者風の姿で遊里に出入りしたところから、僧侶をもいう。玄様(げんさま)
※浮世草子・新吉原常々草(1689)下「浅草あたりの玄(ゲン)色里にうかれゆきけるに」

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世界大百科事典内のの言及

【黒】より

…無彩色だから明度(色の3属性の一つで,色の明るさを表す)によって規定され,黒は明度0である。
[象徴としての黒]
 くろい意を表す漢字は黒のほかに玄があり,古くはむしろこちらのほうが多く使われた。玄の字は黒い糸を束ねた形で,かすかで見にくいところから天の色とされ,また北方の色とされた。…

【黒】より

…無彩色だから明度(色の3属性の一つで,色の明るさを表す)によって規定され,黒は明度0である。
[象徴としての黒]
 くろい意を表す漢字は黒のほかに玄があり,古くはむしろこちらのほうが多く使われた。玄の字は黒い糸を束ねた形で,かすかで見にくいところから天の色とされ,また北方の色とされた。…

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