福岡県中部にあった旧市名(甘木市)。現在は朝倉(あさくら)市の北部・西部・中央部を占める。旧甘木市は1954年(昭和29)甘木、秋月(あきづき)の2町を中心に、上秋月、安川(やすかわ)、馬田(まだ)、蜷城(になしろ)、立石(たていし)、福田、三奈木(みなぎ)、金川(かながわ)の8村が合併して市制施行。1955年高木村を編入。2006年(平成18)朝倉郡朝倉町、杷木(はき)町と合併し朝倉市となった。旧甘木市域の北部は古処山(こしょざん)(860メートル)を中心とする三郡山地(さんぐんさんち)の南部山地が展開、南部は小石原(こいしわら)、佐田両河川の扇状地と、それに続く筑後(ちくご)川右岸の沖積平野が広がる。甘木鉄道、西日本鉄道甘木線が、中心集落である甘木に通じ、国道386号と322号が交差する交通上の要地である。大分自動車道甘木インターチェンジがある。小石原川沿いに国道500号が走る。中心部の甘木は、甘木山安長寺(あんちょうじ)の門前町として生まれ、江戸時代には日田(ひた)街道(豊後(ぶんご)街道)の宿場町、九斎市(きゅうさいいち)の市場町として栄え、明治以降も朝倉郡の中心であった。北部の秋月は、福岡藩の支藩が置かれた城下町である。産業は稲作を中心とした農業が盛んで、野菜(ネギ、キャベツなど)作や、果樹(ブドウ、ナシなど)栽培のほか、酪農、苗木生産も行われている。近年は繊維、染色、木工家具工業のほか、ビール工場やゴム工場の進出もみられ、内陸工業化が進行している。特別天然記念物のツゲ原始林で有名な古処山をはじめ、サクラとツツジの名所甘木公園、秋月城跡と町並み(1998年に重要伝統的建造物群保存地区に選定)、安長寺、江川(えがわ)ダムなど観光要素が多い。2001年には国指定史跡平塚川添遺跡(ひらづかかわぞえいせき)の史跡公園が開園した。
[石黒正紀]
『『甘木市史』全2冊(1981、1982・甘木市)』
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…1893年町制。1954年甘木町などと合体し,甘木市となった。【野口 喜久雄】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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