日本大百科全書(ニッポニカ) 「発光(物理)」の意味・わかりやすい解説
発光(物理)
はっこう
光を発生する現象。生物的発光や化学的発光もあるが、ここでは物理的発光について述べる。光は電波からγ(ガンマ)線までの幅広い波長領域に渡る電磁波であり電磁相互作用である。可視光での物理的発光には、電子遷移による発光、熱による発光(熱発光)、制動放射による発光、チェレンコフ光(放射)などがある。
電子遷移による発光はなんらかの理由により原子核周囲の電子が基底状態から励起状態に遷移し、その電子が元の基底状態に戻るときにおこる。電子が励起状態へ遷移する原因としては外部からの光エネルギー(フォトルミネセンス)、電圧(エレクトロルミネセンス)、電子線の照射(カソードルミネセンス)などがある。熱発光(電球、溶鉱炉)では熱エネルギーが励起原因である。制動放射による発光は電子などの荷電粒子が磁場(シンクロトロン光)や他の原子などとの衝突(X線管)により急に運動方向を変えられたときにおこる。チェレンコフ光は媒質中の光速より高速な粒子による衝撃波としての光である。真空以外の媒質中での光速は真空中での光速より屈折率分だけ遅くなる(たとえば水は屈折率が1.3程度なので、水中での光速は真空中の光速の1.3分の1になる)ことなどが要因となる。
[山本将史 2022年4月19日]
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