照らす(読み)テラス

デジタル大辞泉 「照らす」の意味・読み・例文・類語

てら・す【照らす】

[動サ五(四)]
光をあてる。光をあてて明るくする。「日に―・される」「ライト舞台を―・す」
基準になるものと比べ合わせる。見比べて確かめる。参照する。「学則に―・して処分する」「歴史に―・せば明らかである」
能で、能面少し上向きにする。はればれした気分、喜びの感情を表す。
遊女が客をはねつけて、恥をかかせる。
北廓よしはらにふるといふことばあれば、河東ふかがはに―・すといふ言あり」〈洒・古契三娼
[可能]てらせる
[類語]照射照明投光投射投影光る輝く光り輝くきらめくひらめまたた照る照り輝く照りえる照り付けるきらつくぎらつく発光する一閃いっせんする反照する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「照らす」の意味・読み・例文・類語

てら・す【照】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 光をあてる。また、光をあてて明るくする。
    1. [初出の実例]「天地を弖良須(テラス)日月の極(きはみ)なくあるべきものを何をか思はむ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四八六)
  3. 恥をかかせる。つめたくあしらう。ふる。江戸深川の遊里でよく用いられた。
    1. [初出の実例]「粋自慢せし手代共、口利きの末社迄照(テラ)され」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)四)
    2. 「身請とはてらされぬいたおんづまり」(出典:雑俳・桜の実(1767)一四)
  4. あかるみに出す。ありのままをいう。→かんたん(肝胆)相照らす
    1. [初出の実例]「その已前事(ふるいこと)を隠さずに照(テラ)してじゃだけが、いっこ可愛らしい」(出典:洒落本・南遊記(1800)二)
  5. くらべあわせる。みくらべる。てらしあわせる。
    1. [初出の実例]「これは君の御ため摂籙臣と将軍とおなじ人にてよかるべしと、一定てらし御さたの侍る物を、そのゆゑあらはなり」(出典:愚管抄(1220)七)
    2. 「自分ひとりの経験に照してみても」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉後)
  6. 能楽で、顔をやや仰向けて、面を少し上むきにする。気持が解放されて、喜びの感情を表現する型。⇔曇らす
  7. 焼く、燃やす、煮るの意の、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧(1915)〕

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