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中国で生死を超脱した存在の可能性を考える思想。神仙説の萌芽は戦国時代(前3世紀)に認められる。たとえば《荘子》には風を吸い露を飲み,雲気に乗って飛竜を御する藐姑射(はこや)の山の神人や踵(きびす)をもって呼吸する真人などのイメージがえがかれ,《楚辞》には神仙との遊行がうたわれている。神仙説をとくに鼓吹したのは東方沿海地域の方士たちであって,東海中に神仙の住まう三神山が存在すると説き,三神山の信仰は秦の始皇帝や漢の武帝にもうけつがれた。一方,西方に想定された崑崙(こんろん)山は,天帝の地上世界における都,したがって天上世界と地上世界との通路にあたる神仙境と考えられ,やがて西王母信仰と結びつく。漢代にはまた黄帝や老子の神仙化もすすみ,黄老信仰が生まれた。その後,神仙を神々にあおぐ宗教として道教が成立するとともに,あるものはみずから神仙となるための実践にはげみ,またあるものは神仙の境地を幻想し,六朝時代の〈遊仙詩〉など文学の重要なテーマともなった。
執筆者:吉川 忠夫
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… 六朝時代はまた道教が民衆を中心として強力な宗教として成立した時期である。道教は漢代以前からあった神仙説を中核とし,これに古来の雑多な民間信仰を結合したものであり,その理想は長生不死にあった。初めは教祖に相当するものがなかったが,前漢の半ばころから老子を教祖にいただき,その教説を利用することにより,神仙説の権威向上を図った。…
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