神仙説(読み)しんせんせつ

精選版 日本国語大辞典 「神仙説」の意味・読み・例文・類語

しんせん‐せつ【神仙説】

  1. 〘 名詞 〙 中国で昔、神仙存在を信じた民間思想長生不死仙郷への昇天を求め、仙界における二七階級の位階蓬莱(ほうらい)方丈瀛州(えいしゅう)などの神仙の山を想像する。

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百科事典マイペディア 「神仙説」の意味・わかりやすい解説

神仙説【しんせんせつ】

中国の古い神話に由来し,戦国時代に興り,秦・漢代に流行し,魏晋時代に頂点に達した神秘的思想。神仙は人間の現実的欲望の実現者であり,不老不死であるとする。神仙となるために,修行服薬の法があり,その方法をめぐって,道教と習合した。後漢末には五斗米道(ごとべいどう)や讖緯(しんい)説の中にも影響を及ぼし,発展した。神仙思想の代表的著作は《抱朴子(ほうぼくし)》で,のちに仏教とも習合し,複雑な内容をもつようになった。日本には5世紀代に伝えられたとされ,のち吉野などを神仏境とするようになる。
→関連項目画像鏡画像石神獣鏡西王母仙人庭園列仙伝老荘思想

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改訂新版 世界大百科事典 「神仙説」の意味・わかりやすい解説

神仙説 (しんせんせつ)
shén xiān shuō

中国で生死を超脱した存在の可能性を考える思想。神仙説の萌芽は戦国時代(前3世紀)に認められる。たとえば《荘子》には風を吸い露を飲み,雲気に乗って飛竜を御する藐姑射はこや)の山の神人や踵(きびす)をもって呼吸する真人などのイメージがえがかれ,《楚辞》には神仙との遊行がうたわれている。神仙説をとくに鼓吹したのは東方沿海地域の方士たちであって,東海中に神仙の住まう三神山が存在すると説き,三神山の信仰は秦の始皇帝や漢の武帝にもうけつがれた。一方,西方に想定された崑崙(こんろん)山は,天帝の地上世界における都,したがって天上世界と地上世界との通路にあたる神仙境と考えられ,やがて西王母信仰と結びつく。漢代にはまた黄帝や老子の神仙化もすすみ,黄老信仰が生まれた。その後,神仙を神々にあおぐ宗教として道教が成立するとともに,あるものはみずから神仙となるための実践にはげみ,またあるものは神仙の境地を幻想し,六朝時代の〈遊仙詩〉など文学の重要なテーマともなった。
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世界大百科事典(旧版)内の神仙説の言及

【中国哲学】より

… 六朝時代はまた道教が民衆を中心として強力な宗教として成立した時期である。道教は漢代以前からあった神仙説を中核とし,これに古来の雑多な民間信仰を結合したものであり,その理想は長生不死にあった。初めは教祖に相当するものがなかったが,前漢の半ばころから老子を教祖にいただき,その教説を利用することにより,神仙説の権威向上を図った。…

※「神仙説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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