笑う(読み)ワラウ

デジタル大辞泉 「笑う」の意味・読み・例文・類語

わら・う〔わらふ〕【笑う】

[動ワ五(ハ四)]
喜び・うれしさ・おかしさ・照れくささなどの気持ちから、顔の表情をくずす。また、そうした気持ちで声を立てる。「腹を抱えて―・う」「目だけが―・っている」
(「嗤う」とも書く)あざけりばかにする。嘲笑ちょうしょうする。「一円を―・う者は一円に泣く」「間の抜けた失敗をして―・われる」
(「笑ってしまう」「笑っちゃう」の形で)あまりひどくて、相手にするのもばかばかしいほどである。「何でも知っていますというあの態度は本当に―・っちゃうね」
花のつぼみが開く。また、果物が熟して裂ける。「栗が―・う」
春になって、芽が出たり花が咲いたりして、明るいようすになる。俳句など、文学的表現に用いる。「山―・う」
ゆるんだりほどけたりする。ほころびる。また、足取りがしっかりしなくなる。「歩き疲れて膝が―・う」
[可能]わらえる
[下接句]今泣いたからすがもう笑う鬼が笑う最後に笑う者が最もよく笑う泣いても笑ってもひざが笑う目糞めくそ鼻糞を笑う山笑う来年の事を言えば鬼が笑う
[類語]微笑む笑む笑い飛ばす笑い崩れる笑いける笑い転げる笑いさざめく嘲笑あざわら薄笑うせせら笑う吹き出すほくそ笑むにこつくにたつくにやつく若気にやけやに下がる相好を崩す腹の皮をよじ腹の皮を腹を抱える御中おなかを抱えるおとがいを解く目を細める一笑に付す冷笑嘲笑失笑

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「笑う」の意味・読み・例文・類語

わら・うわらふ【笑・咲・嗤】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. 喜びやおかしさなどの心情を、声または顔の表情で表出する。おかしがって顔をくずし声をたてる。哄笑(こうしょう)する。えむ。
      1. [初出の実例]「微笑 下音焼 訓和良布」(出典:新訳華厳経音義私記(794))
      2. 「これを聞て、はなれ給ひしもとの上ははらをきりてわらひ給ふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      3. 「二三十人が音して拍子をとり喚叫。はと笑(ワラヒ)、どと笑など」(出典源平盛衰記(14C前)二六)
    2. つぼみが開く。花が咲く。えむ。
      1. [初出の実例]「はら筋をよりてや笑ふ糸ざくら」(出典:俳諧・綾錦(1732)上)
    3. 果実が熟して裂け開く。えむ。
      1. [初出の実例]「ほつごんと笑ふて栗の落にけり〈沙龍〉」(出典:俳諧・俳諧新選(1773)三)
    4. 春になって、芽が出たり、花が咲いたりして景色が明るく見える。→笑う山
    5. 縫い目が解ける。ほころびる。→わらいかける
    6. ( 「膝がわらう」の形で ) (膝の)力が抜けて、がくがくする。
    7. ( 「笑っちゃう」の形で ) あまりひどくて、問題にならないように見える。笑わせる。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 あざける。ばかにして声をたてたり、顔をくずしたりする。嘲笑する。あざわらう。
    1. [初出の実例]「汝若し、使を遣して来り告ぐること無からましかば殆に天の下に取嗤(ワラハ)れなまし」(出典:日本書紀(720)継体元年正月(前田本訓))
    2. 「其の工(たく)み不ることを哂(ワラ)ひたまひて」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七)
    3. 「これら文学者のマルクス主義理解の皮相さをわらうのはたやすい」(出典:日本の思想(1961)〈丸山真男〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

とっさの日本語便利帳 「笑う」の解説

笑う

何かをどける、の意味映画・テレビ・出版とも、撮影の現場用語。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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