考える葦(読み)カンガエルアシ(その他表記)roseau pensant フランス語

デジタル大辞泉 「考える葦」の意味・読み・例文・類語

かんがえるあし

パスカルの「パンセ」の中の言葉。「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」として、人間の、自然の中における存在としてのか弱さと、思考する存在としての偉大さを言い表したもの。
[類語]人間ひと人類人倫万物の霊長米の虫ホモサピエンス人物人士じんもの現生人類原始人新人旧人原人ジャワ原人北京原人直立猿人猿人ピテカントロプス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「考える葦」の意味・わかりやすい解説

考える葦
かんがえるあし
roseau pensant フランス語

17世紀フランス思想家パスカルのことば。彼は代表作『パンセ』の有名な断章冒頭で、「人間は自然のなかでもっとも弱い一茎(ひとくき)の葦にすぎない。だが、それは考える葦である」と述べている。広大無辺な宇宙に比べれば、人間は無に等しく、「一茎の葦」のごとく弱く悲惨な存在にすぎないが、それは「考える葦」であり、思考によって「宇宙を包む」ことができる。ここに人間の尊厳があり、偉大さがあるという。このような偉大と悲惨、無限と無という相矛盾しあう二律背反のなかで、揺れ動く人間の存在を、パスカルは「考える葦」ということばで象徴させているのである。なお、この句は聖書の「傷ついた葦」(「イザヤ書」「マタイ伝福音(ふくいん)書」)に由来する。

[香川知晶]

『『パンセ』(前田陽一・由木康訳・中公文庫/田辺保訳・角川文庫/松浪信三郎訳・講談社文庫)』

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故事成語を知る辞典 「考える葦」の解説

考える葦

人間をたとえていうことば。

[使用例] だが、その「何になるんだ。」という奴が、いつまた彼の前にひょっこり姿を現わさないとも限らない。いつは、「考える葦」たる吾々人間につきものだから[豊島与志雄*逢魔の刻|1933]

[由来] 一七世紀のフランスの思想家、パスカルの「パンセ」の一節、「人間は自然のうちで、最も弱い一茎の葦にすぎない。だが、それは『考える葦(un roseau pensant)』である」から。自然の中での人間のか弱さと、思考する存在としての人間の偉大さを言い表しています。

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百科事典マイペディア 「考える葦」の意味・わかりやすい解説

考える葦【かんがえるあし】

パスカルの《パンセ》の中にある言葉。〈人間は一本の葦にすぎず自然のなかで最も弱いものである。だがそれは考える葦roseau pensantである〉。パスカルは,人間は孤独で弱いが,考えることができることにその偉大と尊厳があるとした。〈思考する存在〉としての近代人精神をよく示す句。

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旺文社世界史事典 三訂版 「考える葦」の解説

考える葦
かんがえるあし

フランスの哲学者パスカルの『パンセ』の中の1句
本文中には,「人間は葦にすぎない。それは自然の中でもっとも弱いものである。しかしそれは考える葦である」と記されている。彼は,無神論者に神の真理を証明するために断片的な草案を書き始めたが,病弱のため,未完に終わった。彼の構想は第1部「神をもたない人間の悲惨」,第2部「神をもっている人間の幸福」からなっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「考える葦」の意味・わかりやすい解説

考える葦
かんがえるあし
roseau pensant

フランスの思想家 B.パスカルの『パンセ』のなかの言葉。「人間」を意味する。

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