(読み)タン

デジタル大辞泉 「胆」の意味・読み・例文・類語

たん【胆〔膽〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]タン(呉)(漢) [訓]きも
内臓器官の名。六腑の一。「胆汁胆石胆嚢たんのう臥薪嘗胆がしんしょうたん
どっしりと落ち着いた精神力。きもったま。「胆力剛胆小胆大胆放胆落胆
心の底。本当の気持ち。「肝胆魂胆
難読海胆うに熊の竜胆りんどう

たん【胆】

肝臓。きも。
からだの中で、勇気度胸の生じるもとと思われているところ。きもったま。
「世に骨無き人は多く―有る人は稀なれば」〈露伴・風流魔〉

い【胆】

きも。胆嚢たんのう。「熊の

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精選版 日本国語大辞典 「胆」の意味・読み・例文・類語

い【胆】

  1. 〘 名詞 〙 胆嚢(たんのう)。きも。
    1. [初出の実例]「小子部栖軽は、〈略〉雄略天皇〈大泊瀬稚武の天皇と謂す〉の随身、肺脯(しふ)侍者なり〈興福寺本訓釈 肺脯 上音之反訓支毛 下普音反訓伊〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「諸天子其れが胆(イ)の力を益す」(出典:大智度論天安二年点(858)六〇)

胆の語誌

( 1 )「い(胆)」は古くからもっぱら辞書・訓点資料の和訓として用いられていた。
( 2 )中世末以降、一般作品では「くまのい(熊胆)」などの複合語の形で残存する。この時期、内臓は字音で呼ぶ傾向にあったことや、一般語として浸透しつつあった「い(胃)」との同音衝突により、衰退していったと考えられる。


たん【胆】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 肝臓。きも。〔撮壌集(1454)〕
    1. [初出の実例]「胆 タン 足少陽胆」(出典:和漢三才図会(1712)一一)
  3. きもだま。きもったま。胆力。また、しっかりした心。
    1. [初出の実例]「半円の酒銭(さかて)を投じて、他の一銭よりも吝まざりし此美人の胆(タン)は」(出典:義血侠血(1894)〈泉鏡花一一)
    2. [その他の文献]〔蜀志注‐趙雲伝〕

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普及版 字通 「胆」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)膽
17画

[字音] タン
[字訓] きも・きもだま・こころ

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は膽に作り、(たん)声。胆はその略字で旦(たん)声。〔説文〕四下に「肝をぬるの府なり」とあり、肝臓の右にあって胆汁を分泌する器官。胆略胆勇など、ここに智勇の力があるとされた。また心胆という。

[訓義]
1. きも、胆臓。
2. きもだま、気魄、こころ。

[古辞書の訓]
和名抄〕膽 以(い) 〔名義抄〕膽 イ・キモ・ユタカナリ

[熟語]
胆液・胆寒・胆気・胆虚・胆決・胆識・胆水・胆戦・胆顫・胆喪・胆大・胆智・胆斗・胆破・胆薄・胆勇・胆落・胆略・胆量・胆力・胆裂
[下接語]
肝胆・義胆・剛胆・豪胆・魂胆・嘗胆・心胆・精胆・喪胆・大胆・斗胆・破胆・披胆・放胆・勇胆・落胆

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