(読み)コウ

デジタル大辞泉 「興」の意味・読み・例文・類語

こう【興】[漢字項目]

[音]コウ(呉) キョウ(漢) [訓]おこる おこす
学習漢字]5年
〈コウ〉
勢いが盛んになる。おこる。おこす。「興起興行興業興亡興隆再興振興新興復興勃興ぼっこう
(「」または「」の代用字)感情がたかぶる。「興奮
〈キョウ〉起こりたつ感情。おもしろみ。「興趣興味一興感興座興即興不興遊興余興
[名のり]おき・き・さかん・さき・とも・ふか・ふさ

きょう【興】

おもしろいこと。おもしろみ。「をそぐ話題」「が尽きない」「を添える」
その場のたわむれ。座興。「一夜
詩経」の六義りくぎの一。自然の風物に託して自分の感興をうたう詩の叙述法。
[類語]醍醐味持ち味興味味わい

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精選版 日本国語大辞典 「興」の意味・読み・例文・類語

きょう【興】

  1. 〘 名詞 〙
  2. おもしろいこと。たのしいこと。おもしろみ。おもむき。ふぜい。興味。興趣。
    1. [初出の実例]「中納言喜び給て、『〈略〉興ある事申したり』とのたまひて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. その場だけのたわむれ。一時の遊び。座興。即興。
    1. [初出の実例]「世には心えぬ事のおほきなり。ともあることには、まづ酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  4. 詩経の六義(りくぎ)の一つ。中国、古代の詩の一形式で、ある事物に感じて自分の感興を述べたもの。ある事物から、それに関連して自然に呼び起こされた自分の心情をよんだもの。和歌に当てはめて用いられることもあった。
    1. [初出の実例]「和歌有六義。一曰風。二曰賦。三曰比。四曰興。五曰雅。六曰頌」(出典:古今和歌集(905‐914)真名序)
    2. 「興。たとへ歌の心。五月雨はみねの松風谷の水〈救済〉これは、その物にゆゑづきたるを、見なし聞きなしたとへたる、興の句なるべし」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
    3. [その他の文献]〔詩経大序〕

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普及版 字通 「興」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] コウ・キョウ
[字訓] おこる・おこなう・おもむき

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
同+(きよく)+廾(きよう)。同は酒器。と廾は四手。酒器である同を、上下よりもつ形。儀礼のとき、地に酒をそそいで、地霊を慰撫することが行われた。〔礼記、楽記〕に「上下(しやうか)の興す」とあり、上帝には(降)、地霊には興という。〔周礼、地官、舞師〕に「小祭祀には則ち興せず」とあり、小祭祀のときにはその礼を略した。地霊に酒をいで祀るとき、おそらく呪詞が唱えられたと思われるが、その語はのち〔詩〕の発想法として一の定型をなし、これを興(きよう)という。わが国の序詞・枕詞の成立と相似た関係のものである。酒を人にそそぐことを(きん)といい、新しい建造の物や器物の制作の際にも用いる。〔礼記、文王世子〕に「を興(きん)するにを用ふ」とある興は、の略体とみてよい。〔説文三上に「すなり」とし、字を(よ)(かつぐ)に従い同に従うもので、共同してものを起こす意とするが、地霊をよび興すのが字の原義である。それよりして、すべてものが発動し、興起する意に用いる。興趣の意は、発想としての興の引伸義であろう。

[訓義]
1. おこす、地霊をよびおこす、酒をそそいで地霊をよびおこす。
2. おきる、おきあがる。
3. おこる、はじまる、さかんになる、うごく、あらわれる。
4. おこなう、用いる。
5. たのしむ、おもむき、おもしろい。
6. 詩の発想法。主題に入るための、序詞的な表現。もとは地霊にはたらきかける呪詞的な語で〔詩〕の国風に多く遺存する。
7. と通じ、はらう、きよめる。

[古辞書の訓]
名義抄〕興 オコル・オコス・タトヒ・タフトブ・サカユ・タトフ・オホカタ・タカシ・タクラブ 〔字鏡集〕興 サカリ・オコル・ハジメ・ヨシ・タツ・コト・シルス・ムサボル・タトヒ・ウマル・ウゴカス・ツカサドル・クシノオモ・オコス・タトフ・タフトブ・サカユ・オホカリ・タカシ・タクラブ

[声系]
〔説文〕十二下に興声として一字を収める。は「(よろこ)ぶなり」と訓し、おそらく女巫が興舞することをいう字であろう。〔文選〕の李善の〔注〕などに「興は(えつ)なり」とみえる訓は、この字であると〔段注〕にいう。またを〔説文〕に爨部三上に属し、はその省文に従って、竈(かまど)を祭るに象る字とするが、字は興に従い、鬯(かんちよう)の儀を示すもので、その声義に関係がある。

[熟語]
興悦・興会・興・興玩・興寄・興趣・興尽・興託・興致・興味・興雨・興雲・興役・興家・興化・興壊・興懐・興革・興学・興感・興起・興義・興居・興挙・興業・興啓・興慶・興芸・興建・興功・興行興国・興作興讚・興師・興思・興事・興首・興戎・興鋤・興昌・興譲・興寝・興仁興衰・興積興羨興繕・興替・興治・興築・興長・興騰・興動・興道・興廃・興敗・興発・興富・興舞・興奮・興文・興兵・興輔・興慕・興邦興謗・興亡興勃・興名・興滅・興門興妖・興利・興立・興隆・興慮
[下接語]
一興・逸興・雲興・佳興・感興・義興・吟興・降興・高興・座興・再興・作興・詩興・酒興・秋興・夙興・春興・振興・新興・酔興・清興・盛興・即興・中興迭興日興・廃興・比興・悲興・不興・風興・復興・勃興・遊興・余興・隆興

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「興」の意味・わかりやすい解説


こう

5世紀、倭(わ)の五王の一人。中国の正史『宋書(そうじょ)』『梁書(りょうしょ)』にみえる。安康(あんこう)天皇に比定する説がある。

[編集部]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「興」の解説


こう

「宋書」倭国伝に記される倭の五王の1人。5世紀後半頃の王。済(せい)の世子で武(ぶ)の兄。済の死後に王となった。462年,中国南朝の宋に遣使して世祖孝武帝から安東将軍号を与えられた。名前のうえからは積極的な根拠に欠けるが,済と武との系譜関係から安康天皇である可能性が強い。允恭(いんぎょう)天皇とする説もある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「興」の解説

こう

倭王興(わおう-こう)

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旺文社日本史事典 三訂版 「興」の解説


こう

生没年不詳
5世紀に中国に朝貢した倭の五王の一人。安康天皇に比定されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「興」の意味・わかりやすい解説


こう

倭の五王」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【倭の五王】より

…《宋書》によると,460年にも倭国の遣使があったとするが,これも済の派遣したものであろう。済の死後,世子の興が立ち,使者を派遣すると,これを喜んだ孝武帝は,462年,興を安東将軍・倭国王に任命した。 興の死後,弟の武が立ち,使持節・都督倭百済新羅任那加羅秦韓慕韓七国諸軍事・安東大将軍・倭国王と自称し,478年,使者を派遣して,国書を送った。…

※「興」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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