苛む(読み)サイナム

デジタル大辞泉 「苛む」の意味・読み・例文・類語

さいな・む【苛む/×嘖む】

[動マ五(四)]《「さきなむ」の音変化》
𠮟ったり責めたてたりする。「われとわが身を―・む」
「かかる文見すれば、おとど、母宮、―・むとて」〈宇津保嵯峨院
苦しめる。いじめる。「不安の念に―・まれる」「切り―・む」
牛頭馬頭ごずめず獄卒に―・まれて」〈芥川地獄変
[類語]いじめるなぶるいびる虐げる切り苛む虐待迫害責めるとがめるなじ難ずるつるし上げる締め上げる責め付ける責め立てる難じる非難する難詰する面詰する面責する問責する詰責する𠮟責しっせきする譴責けんせきする弁難する論難する指弾する追及する・詰問する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「苛む」の意味・読み・例文・類語

さいな・む【苛・嘖】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙 ( 「さきなむ」の変化した語 )
  2. 他人失策欠点、法にそむいた行ないなどをしかる。叱責する。せめる。
    1. [初出の実例]「かかる文みすれば、おとど、母宮、さいなむ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
    2. 「れいの心なしのかかるわざをしてさいなまるるこそいと心づきなけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  3. いじめる。むごく当たる。苦しめ悩ます。せっかんする。
    1. [初出の実例]「故に我れ汝をば害せじ。諸仏の呵(サイナマ)れむかと恐るといふ」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)四)
    2. 「かの落窪といひたてられて、さいなまれ給ひし夜こそいみじき心ざしはまさりしか」(出典:落窪物語(10C後)四)

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