詰る(読み)ツマル

デジタル大辞泉 「詰る」の意味・読み・例文・類語

つま・る【詰(ま)る】

[動ラ五(四)]
すきまもなく入って、いっぱいになる。「立錐りっすい余地もなく―・った聴衆」「予定がびっしり―・っている」
途中がふさがって通路・管などが通じなくなる。「排水管が―・る」「鼻が―・る」

㋐長さ・幅や間隔などが短くなる。ちぢまる。「洗濯したら、たけが―・った」「日が―・る」「差が―・る」
㋑変化して語形が短くなる。つづまる。「『わがいも吾妹)』が―・って『わぎも』になる」
うまい対応のしようがなくて苦しむ。窮する。行きづまる。また、気分的に窮屈である。「生活に―・る」「返答に―・る」「気の―・る思い」
最後のところまでいく。行きつく。→詰まるところ
促音で発音される。「―・るおん
野球で、ピッチャーの投げた球がバットの芯からはずれた、手もとに近い所に当たる。「シュートで―・らせる」「―・った当たり」
[下接句]息が詰まる気が詰まるこじりが詰まる寸が詰まる世間が詰まる理に詰まる
[類語](2つかえる塞がる

なじ・る【詰る】

[動ラ五(四)]相手を問いつめて責める。詰問する。「心変わりを―・る」
[類語]責める咎める追及詰問難詰面詰面責糾問問責問い詰める突き詰める吊し上げる締め上げる責め付ける責め立てる難じる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「詰る」の意味・読み・例文・類語

つま・る【詰】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. ある空間に物がいっぱいになる。余地がないほど入れられる。
    1. [初出の実例]「傍なる足鼎を取りて、頭に被きたれば、つまるやうにするを」(出典:徒然草(1331頃)五三)
  3. 穴、通路などが奥でつかえる。通りぬけられなくなる。
    1. [初出の実例]「あかるくいの中におちつまりて、えはたらかぬ男あり」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一四)
  4. 行きづまって先へ進めなくなる。追いつめられて逃げ場がなくなる。
    1. [初出の実例]「万の事、さきのつまりたるは破れに近き道なり」(出典:徒然草(1331頃)八三)
  5. 音連続の間で、閉鎖音のところでしばらく息をとめる。
    1. [初出の実例]「宮守ひとりものやう成、ひ文字、つまりてひつと言ひし也」(出典:申楽談儀(1430)序)
  6. やりくりができなくなる。打開できなくなる。
    1. [初出の実例]「此事は往日恵心与清義番論義之間、清義つまりて、自禁裏修行大峰」(出典古事談(1212‐15頃)三)
  7. 動きがとれなくなる。景気が悪くなる。欠乏する。
    1. [初出の実例]「小林兵粮につまりて、又伯耆へ引退ければ」(出典:太平記(14C後)三八)
  8. 長さ・期間などが短くなる。日数などが少なくなる。期限がせまる。ちぢまる。おしつまる。
    1. [初出の実例]「花見ぐるまくるるより、月の、花よまたふよ。是でつまりまらした」(出典:虎明本狂言・花争(室町末‐近世初))
  9. 煮物などで、水分が蒸発してしまう。煮つまる。
    1. [初出の実例]「おなぎ薬鍋を下し蓋をあけ見て、『おおこりゃ、お薬が詰(ツマ)ったわいな』」(出典:歌舞伎・新皿屋敷月雨暈(1883)序幕)
  10. 決着がつく。筋が通る。なっとくできる。多く下に打消の語・反語を伴って用いる。→つまらない。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「ぬしや詰(ツマ)りんせんよ」(出典:浄瑠璃神霊矢口渡(1770)一)
  11. 連俳用語。句数に制限のある句を制限枠まで詠み続けたために、同類の句をそれ以上作り続けられなくなる。
    1. [初出の実例]「つまる 春秋恋五句つづき、夏冬三句続きたれば、もはやならぬ故に、春つまり秋つまり恋つまりなどと申なり」(出典:俳諧・誹諧名目抄(1759))

なじ・る【詰】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 相手の過失を問いただして責める。問いつめて責める。詰問する。非難する。なぜる。
    1. [初出の実例]「一切の外道の来て相ひ詰(ナジリ)難して、善く能く解釈して其を降伏せ令むる」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)四)
    2. 「何を思ってか、高く笑ったばかりで、再び娘を詰(ナジ)らなかった」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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