荒川岳(読み)アラカワダケ

デジタル大辞泉 「荒川岳」の意味・読み・例文・類語

あらかわ‐だけ〔あらかは‐〕【荒川岳】

長野・静岡の県境にある山。赤石山脈主峰の一。山頂は、最高峰ひがし岳(別名悪沢岳標高3141メートル)・中岳(標高3083メートル)・前岳(標高3068メートル)の3峰からなる。頂上付近には高山植物カール圏谷けんこく)が見られる。南アルプス国立公園に属する。荒川三山

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荒川岳」の意味・わかりやすい解説

荒川岳
あらかわだけ

赤石山脈中央部に位置する,静岡県長野県にまたがる山。東に最高峰東岳(3141m),西に前岳(3068m),前岳寄りの中間に中岳(3084m)があり,三峰あわせて荒川岳(荒川三山)と呼ぶが,狭義には前岳のみをさす。また東岳のみを悪沢岳と呼称することも多い。なお,山名は周辺各県で異なる。山体はおもに中生代に堆積した赤石層群の砂岩頁岩などからなり,東岳では集塊岩輝緑凝灰岩などが見られる。東岳北側,前岳東側の標高約 2900mにはカール圏谷)の跡がある。山腹針葉樹などの天然林に覆われ,山頂部はハイマツ帯が広がる。登山道は静岡市大井川上流部にある二軒小屋や椹島(さわらじま)から,長野県側からは天竜川支流小渋川沿いのコースがある。南アルプス国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「荒川岳」の意味・わかりやすい解説

荒川岳 (あらかわだけ)

赤石山脈南部の最高峰。東岳(3141m),中岳(3083m),前岳(3068m)が東西に並び,荒川三山と呼ばれる。呼称は静岡,山梨,長野によってそれぞれ異なるが,狭義の荒川岳は前岳を指し,孤立した東岳は一般に悪沢岳と呼ぶ。前岳西斜面は小渋川支流の谷頭で,荒々しい岩肌をみせる赤石山脈最大の崩壊地であるのに対し,山稜は緩やかで,夏には乾性の高山植物の花畑となる。悪沢岳北東部,荒川岳南部にはモレーン堆石)を持ったみごとなカール地形をはじめ,数多くの氷河地形の疑いのある地形がみられる。荒川岳南部のカール地形は上下2段となっており,上位のカール底は標高2810m,下位のより古いカール底は標高2700mにあって,複数の氷河作用を受けていると考えられる。登山は三伏峠や赤石岳からの縦走によることが多く,長野側は小渋川から,静岡側は大井川上流の二軒小屋からの尾根道がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒川岳」の意味・わかりやすい解説

荒川岳
あらかわだけ

長野・静岡県境をなす赤石山脈南部の高峰。最高所は静岡県側にあり、日本第6位の標高をもつ東岳(ひがしだけ)(悪沢岳(わるさわだけ))の3141メートルである。山体は主として砂岩で、このなかに頁(けつ)岩や凝灰岩が混じっている。山頂の西側は、天竜川の支流である小渋川(こしぶがわ)の源流をなし、巨大な崩壊地になっている。山頂は西より東へ、前岳(3068メートル)、中岳(3084メートル)、東岳といくつかのピークに分かれる。また山頂の北側には、カールとみられる地形が残っている。頂上付近にはヒメノセンブリ、オクヤマリンドウ、チョウノスケソウなど珍しい高山植物がある。登山コースは赤石岳登山と同じく椹島(さわらじま)から入り、東の千枚岳から西へ回って東岳、中岳、前岳と歩き、赤石岳経由で椹島に戻るのが一般的。2泊3日を要する。

[小林寛義]

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百科事典マイペディア 「荒川岳」の意味・わかりやすい解説

荒川岳【あらかわだけ】

長野県,静岡県の境にある,前岳(標高3068m),中岳(標高3084m),悪沢岳(標高3141m)の総称。荒川三山とも呼ぶ。悪沢岳は東岳とも呼ばれ,日本第6位の高さで,日本百名山にも選ばれている。南アルプス国立公園に属している。
→関連項目赤石岳

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