蔓延る(読み)ハビコル

デジタル大辞泉 「蔓延る」の意味・読み・例文・類語

はびこ・る【蔓延る】

[動ラ五(四)]
草木などが繁茂する。「雑草が―・る」
よくないものの勢いが盛んになって広まる。広まって勢力を張る。「害虫が―・る」「悪が―・る」
[可能]はびこれる
[類語](1茂る生い茂る繁茂自生密生叢生そうせい群生鬱然うつぜん鬱蒼うっそう草深い木深いふさふさこんもりもじゃもじゃ茫茫ぼうぼうぼさぼさばさばさぎゅうぎゅうぎしぎしぎちぎちきちきちぎっしりびっしりごしゃごしゃごちゃごちゃうじゃうじゃうようよわらわら群がるひしめく鈴なり密集集中凝集蝟集いしゅう/(2のさばる蔓延広がる流行猖獗しょうけつ跋扈ばっこ跳梁横行流布伝播浸透波及弥漫びまん広まる行き渡る

ほびこ・る【蔓延る】

[動ラ四]いっぱいにひろがる。はびこる。
「この見ゆる雲―・りてとの曇り雨も降らぬか心足こころだらひに」〈・四一二三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「蔓延る」の意味・読み・例文・類語

はびこ・る【蔓延】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 草木などが、のびひろがる。ひろがり茂る。
    1. [初出の実例]「はびこれる葛の下ふく風の音も誰れかは今は聞くべかりける」(出典:斎宮女御集(985頃か))
    2. 「蒼黒い藻草が限りなく蔓延(ハビコ)ってゐた」(出典:彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉須永の話)
  3. 物が満ちて一杯になる。充満する。→はばかる(憚)
    1. [初出の実例]「百姓殷(さか)りに富めり。稲(いね)(さか)に、銀銭一文。牛馬野に被(ハヒコレ)(〈別訓〉ほとこれ)り」(出典:日本書紀(720)顕宗二年一〇月(図書寮本訓))
    2. 「町々にはびこれる酒屋の数」(出典:滑稽本・古朽木(1780)二)
  4. 勢いが盛んになって広まる。ひろまり栄える。また、のさばる。威勢をふるう。蔓延する。跳梁する。→はばかる(憚)
    1. [初出の実例]「一類天下にはびこりて、威を振ひ」(出典:太平記(14C後)一一)
    2. 「長崎の町にはびこった、恐しい熱病にとりつかれて」(出典:奉教人の死(1918)〈芥川龍之介〉一)

蔓延るの補助注記

「虎明本狂言・宗論」に法華僧が「日本にはびこる程のほうもん法文)じゃ程に」と言うと浄土僧が「三国にはばかるほどのほうもんじゃよ」と言い返す例があるように、「はびこる」と「はばかる」は、室町時代から江戸時代にかけて、用法上、重なるところがあった。


ほびこ・る【蔓延】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 いっぱいに広がる。はびこる。
    1. [初出の実例]「この見ゆる雲保妣許里(ホビコリ)てとの曇り雨も降らぬか心足ひに」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二三)

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