デジタル大辞泉 「蛙」の意味・読み・例文・類語
かえる〔かへる〕【×蛙/×蝦/×蛤】
[類語]
上代に、「かへる」の確実な例はないが、「万葉‐一六二三」に、楓(かへるで)を「蝦手(かへるて)」と書いた例があるので、「かえる」の語は存したとみられる。「かはづ」が歌語であるのに対し、「かへる」は日常語であったと思われる。
( 1 )「万葉集」では、①か②か判別困難な場合が多いが、主に声を賞美される②は、季を問わず「万葉集」以後も和歌に詠まれる。
( 2 )「(井手の)山吹」とともに詠まれることが多く、②の「古今」の歌はその代表。
( 3 )「かえる」が口語、俗語であるのに対して、「かわず」は歌語、雅語として用いられたといわれる。
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
古代ギリシアの喜劇作家アリストファネスの喜劇。紀元前405年、レナイア祭の喜劇コンテストで上演、一等賞を得る。三大悲劇詩人のうちアイスキロスはすでに前456年に亡くなっていたが、前406年にはエウリピデスとソフォクレスも相次いで世を去った。このためアテネに残るのは二流、三流の詩人ばかりとなり、アリストファネスは喜劇のなかでエウリピデスを地上に連れ戻そうと考える。そこでこの劇では、演劇の神ディオニソスがかつて冥界(めいかい)降りしたことのあるヘラクレスに扮(ふん)して地下に降り、エウリピデスを連れ帰ろうとする。ところが冥界では、古典主義的完成の体現者として局外にたつソフォクレスは別として、旧世代のアイスキロスと新世代のエウリピデスが悲劇の第一人者の椅子(いす)をめぐって争っている。そこで、来あわせたディオニソスが二大詩人の歌合戦の審判者となる。このような筋(すじ)書きを進めるために、アリストファネスは2詩人の詩句を思うままに引用して茶化す。このことから、この劇は世界最古の文芸批評ともなっている。なお題名は、三途(さんず)の川で鳴き騒ぐ蛙のコーラスに由来する。
[中務哲郎]
草野心平の第4詩集。1938年(昭和13)刊。処女詩集《第百階級》(1928)以後の蛙を素材とした詩18編を収録。同じ蛙の詩集といっても,ここには《第百階級》に見られたアナーキスティックな反逆精神や荒々しい生の賛歌は影をひそめ,かわりに無限の時空を意識したところに生まれた諦念によって生を凝視する姿勢がうかがわれる。それは一方では無限の時空への一体化の願望となり,また一方では美しい自然を背景にした蛙のはかない生への詠嘆となっている。なお,彼にはこの後,《定本蛙》(1948,読売文学賞受賞),《第四の蛙》(1964),《蛙の全体》(1974)等の蛙の詩集や合詩集がある。
執筆者:飛高 隆夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…そして,このアッティカ古喜劇という世界の文学史のなかできわめて特異な場所を占める文芸分野の完成者であり,またその死の証人でもある。彼の創作した喜劇は,20歳前の作と伝えられる《宴の人々(ダイタレス)》(前427)から,《福の神(プルトス)》(前388)に至るまで44編に及ぶと伝えられているが,そのうちの11編,すなわち《アカルナイの人々》(前425),《騎士》(前424),《雲》(前423),《蜂》(前422),《平和》(前421),《鳥》(前414),《女の平和》《テスモフォリアを祝う女たち》(ともに前411),《蛙》(前405),《女の議会》(前392),《福の神》はほぼ完全な形で残っており,そのすべては邦訳によっても読むことができる。 民会,将軍,煽動政治家,戦争,平和条約等の高度に現実的な問題や状況を舞台に乗せ,そこに登場したひとりの,現実的な意味では無力のアテナイ市民(典型的には,ペロポネソス戦争によって耕地を荒らされ最も大きな被害を受けている郊外の農民)が,個人に残されている最後の力であるところの想像力,表現の力によって現実を逆にひざまずかせるというのが,アリストファネスないしはアッティカ古喜劇の独自の世界である。…
…(3)は年齢や霊的な表現の濃淡で区別される。瘦男(やせおとこ)や蛙(かわず)は死相を表し,三日月や阿波男,怪士(あやかし)などは神性の表現に特徴がある。平太(へいた)と中将は特に武将の霊に用い,頼政や景清,俊寛など特定の人物への専用面も現れた。…
※「蛙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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