精選版 日本国語大辞典 「汝」の意味・読み・例文・類語
いまし【汝】
〘代名〙 対称。なんじ。おまえ。
※万葉(8C後)一一・二五一七「たらちねの母に障(さは)らばいたづらに伊麻思(イマシ)も吾も事の成るべき」
なれ【汝】
〘代名〙 対称。対等の相手や目下の者、動物などに対して用いる。なんじ。「な」とともに、上代・中古に用いられた。
※書紀(720)推古二一年一二月・歌謡「しなてる 片岡山に 飯(いひ)に飢(ゑ)て 臥(こや)せる その旅人(たひと)あはれ 親無しに 那礼(ナレ)生(な)りけめや」
※源氏(1001‐14頃)若菜下「ねうねうといとらうたげに鳴けばかきなでて〈略〉恋わぶる人の形見と手ならせばなれよ何とて鳴くねなるらむ」
み‐まし【汝】
〘代名〙 (「み」は接頭語) 対称。あなた。「いまし」「まし」などよりも敬意が高いとみられる。確実な例は、宣命の中にだけ見られる。
※続日本紀‐神亀元年(724)二月四日・宣命「藤原宮に天の下知しめしし美麻斯(ミマシ)の父とます天皇の美麻斯(ミマシ)に賜ひし天の下の業と」
まし【汝】
〘代名〙 (「いまし(汝)」の変化したものか) 対称。上代、対等、またはそれ以下の相手に対して用いた。「いまし」より敬意の薄いものとされる。おまえ。
※催馬楽(7C後‐8C)夏引「夏引きの 白糸 七量(ななはかり)あり さ衣に 織りても着せむ 万之(マシ)妻(め)離れよ」
な‐むじ ‥むぢ【汝】
〘代名〙 ⇒なんじ(汝)
な‐むち【汝】
〘代名〙 ⇒なんじ(汝)
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