(読み)のき(英語表記)eaves

翻訳|eaves

日本大百科全書(ニッポニカ)「軒」の解説


のき
eaves

建物屋根で、外の線から外に突出した部分をいう。通常は建物の外周に沿って連続した形となり、開口の上部など部分的に取り付けられる(ひさし)と区別する。軒は強い日差しに対し影をつくり、激しい風雨から壁面や開口を保護する役目をもち、深い軒はモンスーン地帯の建築に共通する意匠上の特徴ともなっている。しかし勾配(こうばい)の急な屋根を突出させ深い軒をつくれば、軒先が低くなって建物の使用上不便を生じる。日本建築ではこれを解決するために野屋根(のやね)や化粧軒裏がくふうされた。その結果、軒下が屋内と屋外をつなぐ重要な生活空間として活用できるようになり、広い縁側をとることも可能となった。

 軒裏の垂木(たるき)を軒桁(のきげた)から軒先まで1本の材で通すものを一軒(ひとのき)、2段に分けるものを二軒(ふたのき)という。通常の和風建築は一軒であるが、薬師寺東塔以降の主要な仏寺ないしその影響を受けた建物では二軒にするのが通例である。

[山田幸一]

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精選版 日本国語大辞典「軒」の解説

けん【軒】

[1] 〘名〙 大夫以上が乗るくるま。また一般に、くるま。
※蕉堅藁(1403)画鶴「質昂然胎化禽、乗軒曾感懿公心」
[2] 〘接尾〙
① (撥音を受けるときは「げん」とも) 戸数を数える助数詞
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「数千軒(ゲン)の問丸、甍(いらか)をならべ白土雪の曙をうばふ」 〔朱熹‐高士軒記〕
② 住居の号や、雅号または屋号などの末尾に添えて用いる語。「桃中軒雲右衛門」
※談義本・風流志道軒伝(1763)一「爰に江戸浅草の地内に、志道軒といへるえせものあり」

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デジタル大辞泉「軒」の解説

けん【軒】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(漢) [訓]のき
〈ケン〉
ながえが高くあがった車。「軒輊けんち
家の屋根の張り出した部分。のき。ひさし。「軒灯
家屋。「軒数
高くあがる。「軒昂けんこう
〈のき〉「軒先軒端のきば

けん【軒】

[接尾]
助数詞。家屋の数をかぞえるのに用いる。「三」「数千
雅号・屋号などの末尾に用いる語。「桃中」「精養

のき【軒/宇/×簷/×檐】

屋根の下端で、建物の壁面より外に突出している部分。
ひさし

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世界大百科事典 第2版「軒」の解説

のき【軒】

建築物において,葺(ふ)き下ろした屋根の端が柱や壁から外へ突き出た部分をいう。かつては檐,簷の字を用いた。木造建築では柱通りあるいはそこから持ち出して軒桁を通し,垂木(たるき)を斜めに架けて構成されており,柱や壁を風雨からまもる重要な役割を果たす。日本建築の軒は地(じ)垂木だけの一軒(ひとのき),地垂木飛檐(ひえん)垂木からなる二軒(ふたのき)のほか,まれに飛檐垂木を二重に設けた三軒(みのき)があり,さらに垂木の打ち方によって平行である(しげ)垂木と疎(まばら)垂木,ほぼ放射状となる扇垂木だけ放射状の隅扇垂木,それに垂木を打たない板だけの板軒などに分かれる。

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世界大百科事典内のの言及

【塔頭】より

…室町時代に五山では庵居の風習が盛んとなって多く設立され,幕府では塔頭造営を規制したことがある。山号をもたず,院,庵,軒などの称号をもった。独立した一寺ではないが,所領を保有して末寺をもち,同門の派徒のよりどころ,一派の拠点となって規模も拡大し,実質的には一寺としての発展をみる。…

【日本建築】より

…このため建物の外観は軽快となり,量感に乏しくなる。これは構造から生じた必然的な結果でもあるが,自然にそうなったというより,大きな壁面を構成できる大壁造の城郭においても,多くの軒や破風などによって壁を区切り,量感よりも軽快さを求めているから,意匠の好みといってよかろう。構造材である柱や梁などがすべて露出される結果,構造材はそのまま化粧材となる。…

※「軒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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