辞する(読み)ジスル

デジタル大辞泉 「辞する」の意味・読み・例文・類語

じ・する【辞する】

[動サ変][文]じ・す[サ変]
あいさつをして帰る。「訪問先を―・する」
勤めている職や役をやめる。辞職する。辞任する。「社長地位を―・する」
勧誘や申し出などを断る。辞退する。「推薦すいせんを―・する」
(「…を辞せず」「…も辞さない」などの形で)ためらわずにする。「いかなる犠牲も―・さない覚悟
[類語]断る拒むいな謝する謝絶する拒絶する拒否する辞退する固辞する遠慮する一蹴する不承知難色不同意異議異論異存批判抵抗難色を示す異を唱える異を立てる首を振る首を横に振るかぶりを振る如何なものか謙譲拝辞する(厳しく強い調子)退けるね付ける突っねる峻拒しゅんきょする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「辞する」の意味・読み・例文・類語

じ‐・する【辞】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]じ・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. ことばをかける。挨拶(あいさつ)する。会釈(えしゃく)する。
      1. [初出の実例]「今しづかに御局(みつぼね)にさぶらはむと、じしていぬれば」(出典:春曙抄本枕(10C終)六)
    2. 退出する。引き下がる。いとまごいをして帰る。まかる。
      1. [初出の実例]「ながく父王の国土を辞して」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持下)
      2. 「少からず満足して先生の許を辞した」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生東京を去る)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]じ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 辞退する。すすめられたことや頼まれたことを断わる。現在では「…を(も)辞せず」(五段なら、「辞さない」)の形で、「…を恐れたり、避けたりしない」の意の強い決意を示すのにも用いる。「強硬手段をも辞せず」
      1. [初出の実例]「朝廷(おほやけ)にもかなはず、つかさくらゐも辞して、三条の末、京極大路に広く面白き家を造りて、娘に琴を習はす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      2. 「半夜突然来って君を煩はせしに、君辞せずして厚待に遇ふ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
    2. 辞職する。勤めている職をやめる。
      1. [初出の実例]「年ごろ、かう思しおきてしかど、えじし給はざりしを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)

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