農家(建築)(読み)のうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「農家(建築)」の意味・わかりやすい解説

農家(建築)
のうか

農民の家。農業に従事する人の住居。付属屋を含む全体をさす場合と、居住部分だけをさす場合とがある。歴史的には町屋とともに民家とよばれることが多い。明治維新ごろには、江戸時代以来の地域的特色平面にも様式にもみせていたが、近代化されるにしたがって特色が薄れつつある。また、規模的にみると20坪程度が平均的で、10坪程度の小さな家では土間と1、2部屋の居住部分だけの間取り、20坪程度では接客や儀礼に使われる座敷を付加した間取りであったが、近代化の過程において衛生面や作業能率あるいは生活意識の面から改善が唱えられ、大正の末ごろには改善を目ざして農村住宅の懸賞募集などが各県で行われるようになり、昭和に入ってしだいに具体的な住宅改良がみられるようになった。しかし、本格的に農家が改革されるのは敗戦に伴う農地解放以後のことで、さらに戦後の機械化による生産性の向上もあって、農家の平均規模は拡大している。

平井 聖]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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