遊行柳(読み)ユギョウヤナギ

デジタル大辞泉 「遊行柳」の意味・読み・例文・類語

ゆぎょうやなぎ〔ユギヤウやなぎ〕【遊行柳】

謡曲三番目物観世信光作。新古今集取材奥州へ下る道中遊行上人の前に柳の精が現れ、西行の古歌ゆかりの柳の木にまつわる故事を語る。

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精選版 日本国語大辞典 「遊行柳」の意味・読み・例文・類語

ゆぎょうやなぎユギャウ‥【遊行柳】

  1. 謡曲。四番目物。各流。観世小次郎信光作。遊行上人白河の関を過ぎると、老人が現われて先代の遊行上人が通った古道へ誘い朽木の柳という名木を教える。そして、西行法師が「道のべに清水流るる柳かげしばしとてこそ立ちどまりつれ」とよんだ木だという故事を語り、上人から十念を授かって姿を消す。その夜、上人の夢の中に柳の精が現われ、十念のおかげで成仏できると喜び、柳にちなむ和漢の故事を語り、報謝の舞を舞う。

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改訂新版 世界大百科事典 「遊行柳」の意味・わかりやすい解説

遊行柳 (ゆぎょうやなぎ)

能の曲名。三番目物観世信光作。シテ老木(おいき)の柳の精。時宗(じしゆう)の遊行上人(ワキ)が陸奥の白河の関を越え,広い道を選んで歩みを進めると,一人の老人(前ジテ)が呼びかけて現れる。老人は,前(さき)の遊行上人が川岸旧道を通ったことを知らせ,その道を案内して,〈朽木(くちき)の柳〉という名木のある古塚を見せる。これははるかに昔からの名木で,西行が歌に詠んだこともあるのだと説明した老人は,上人から念仏を授かって古塚の陰に消える。夜になると,老体の柳の精(後ジテ)が烏帽子狩衣(えぼしかりぎぬ)の姿で現れ,柳にまつわる説話の数々を聞かせ(〈クセ〉),報謝の舞を舞う(〈序ノ舞・ノリ地〉)。クセと序ノ舞が中心の曲。にぎやかな能が得意なこの作者には珍しく,閑寂な趣の能である。世阿弥の《西行桜》に対抗した作ともいえるが,そのクセが桜の名所を描いてまとまっているのに比し,この能のクセは,柳にまつわる故事を関連なくつないだ形で,作風は争えない。箏曲新青柳》《青柳》の原拠である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「遊行柳」の意味・わかりやすい解説

遊行柳
ゆぎょうやなぎ

能の曲目。四番目物、また鬘(かずら)物に準じて三番目物としても扱われる。五流現行曲、ただし金春(こんぱる)流は明治の復曲。世阿弥(ぜあみ)の名作『西行桜(さいぎょうざくら)』に対抗して晩年の観世信光(かんぜのぶみつ)が書いた作品。初演は1514年(永正11)。西行の「道のべに清水流るる柳蔭(かげ)しばしとてこそたちどまりつれ」の和歌骨子に、歌に詠まれた老いた柳の精が、閑寂な風情をみせる高度な能である。奥州に至った遊行上人(しょうにん)(ワキ)の前に、老人(前シテ)が現れて、先代の遊行上人の通った古道に案内し、西行の歌に名高い朽木(くちき)の柳という名木を教え、上人から十念を授かると柳のあたりに姿を消す(中入)。里人(間(あい)狂言)が出て、上人に柳の物語をして退く。上人の念仏のなかに、柳の精(後シテ)が白髪の老翁の姿で現れ、和漢の柳の故事を物語り、報謝の舞を舞って消える。

[増田正造]

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事典・日本の観光資源 「遊行柳」の解説

遊行柳

(栃木県那須郡那須町)
とちぎの名木100選」指定の観光名所。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「遊行柳」の解説

遊行柳
ゆぎょうのやなぎ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
寛文2.8(江戸・いにしへ座)

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