韓国,慶尚南道の南西部に位置し,釜山市に隣接する都市。市の北界および東界を流れる洛東江が北部に進永平野,東部には韓国唯一の三角州平野である金海平野を発達させており,嶺南地方最大の穀倉地帯にある。市の中央を南海高速道路が走り,西の昌原・馬山工業地帯,東の釜山工業地帯を自動車で一時間たらずで結ぶ。これらの大消費地を背景として,園芸,果樹,畜産などの近郊農業が盛んであったが,近年釜山から中小工業が多数移動してきたほか商業の発達が著しい。人口は95年現在26万4965に達している。金海平野一帯は古代金海加羅の本拠地となったところであり,金海邑周辺には遺跡が多い。また,韓国最大の同姓氏族である金海金氏の出身地として有名である。洛東江下流の三角州の中央に1976年金海国際空港が建設され,開港とともに三角州全体が釜山市へ編入された。
執筆者:谷浦 孝雄
金海市鳳凰洞の鳳凰台と呼ばれる丘陵にある,無文土器時代(青銅器時代)から三国時代にわたる遺跡。1920年,34-35年の本格的な発掘調査の結果,各種の遺構や遺物が検出された。無文土器時代には,支石墓1,箱式石棺墓5,甕棺墓3からなる墓地が営まれた。甕棺墓の内外からは,碧玉製管玉,細形銅剣,銅鉇(どうし)が出土し,石棺墓内からは,丹塗磨研土器と磨製石鏃が出土した。ついで,原三国時代では,住居が営まれ,貝塚が形成された。住居跡は,炉跡を伴う敷石の竪穴式である。貝層は東西約120m,南北約30mの範囲で,とくに丘陵南面の厚いところは厚さ約6mに堆積する。貝層出土の土器は,赤褐色をした無文土器系統の土器に加えて,黝青(ゆうせい)色の陶質土器が加わる。骨角器,鉄器,炭化米,貨泉など特色ある遺物が含まれる。三国時代では,金海加羅および新羅の陶器を検出するが,遺構はわからない。
→金海式土器
執筆者:西谷 正
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韓国(大韓民国)、釜山(ふざん/プサン)広域市に接する慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)の市。面積463.26平方キロメートル、人口33万0829(2000)。1981年、市に昇格。95年、金海郡と統合。古代、駕洛(からく)国の中心地であり、古墳群、貝塚が散在する。洛東江(らくとうこう/ナクトガン)下流域の広い平野に展開し、気候が温和である。古くから生産性の高い農業地帯で、近郊農業と遠郊農業に加え、酪農業も盛んである。
[森 聖雨]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…桃山時代,文禄・慶長の役の際,領主島津義弘は朝鮮より多くの陶工を連れ帰った。その一人金海(星山仲次)が,姶良(あいら)郡の帖佐宇都に窯をきずいたのが始まりと伝える。これが宇都(うと)窯である。…
※「金海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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