(読み)ケツ

デジタル大辞泉 「闕」の意味・読み・例文・類語

けつ【闕】[漢字項目]

[音]ケツ(漢) [訓]かける
宮城の門。また、宮城。「闕下宮闕禁闕城闕
(「」と通用)不足する。かける。「闕字闕如闕文闕本残闕
あやまち。「闕失
難読闕腋けってき

けつ【×闕】

中国で、宮門両脇に設けた物見やぐらの台。石闕せっけつ
宮城。宮城の門。
けつ1」に同じ。
大納言の―あるに依りて、此を望むとて」〈今昔・二四・二五

けち【×闕】

闕官けっかん1」に同じ。
「―の侍らざらむには、いかでかは」〈宇津保・蔵開中〉

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精選版 日本国語大辞典 「闕」の意味・読み・例文・類語

けつ【闕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. けつ(欠)
    1. [初出の実例]「一定以後、随闕充補」(出典:続日本紀‐養老五年(721)三月乙卯)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐襄公元年〕
  3. 宮城。また、宮城の門。
    1. [初出の実例]「具衣冠、望闕再拝」(出典:空華日用工夫略集‐応安四年(1371)正月八日)
    2. [その他の文献]〔漢書‐朱買臣伝〕
  4. 中国で、宮城門外の左右にあって、上に物見やぐらを設けた二つの台。〔春秋左伝‐荘公二一年〕

けち【闕】

  1. 〘 名詞 〙
  2. けっかん(闕官)
    1. [初出の実例]「例あるよろこびなどもせさすべきを、ただいまそのけちなどえあらで」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  3. けち(結)

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普及版 字通 「闕」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] ケツ
[字訓] かける

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(けつ)。〔説文〕十二上に「門なり」とあり、宮門脇にアーチ状の上に望楼を設け、古くは象魏といった。法令の発布のときには、ここに掲示した。缺(欠)と通用する。

[訓義]
1. 門観。
2. 墓道の石闕
3. 缺と通用し、かく、のぞく、さる、あやまち、欠員

[古辞書の訓]
名義抄〕闕 カク・カケタリ・アヤマツ・ヲハル・ノゾク・ホル・スクナシ 〔字鏡〕闕 スクナシ・アヅカル・ウシナフ・カク・トホル・カケタリ語彙は欠(缺)字条参照。

[熟語]
闕遺・闕員・闕洩・闕景・闕掖・闕焉・闕下・闕画・闕巻・闕疑・闕誤・闕字・闕失・闕如・闕政・闕然・闕廷・闕庭・闕狄・闕・闕党・闕筆・闕文・闕乏・闕里・闕略・闕漏
[下接語]
雲闕・王闕・観闕・冀闕・魏闕・旧闕・宮闕・巨闕・玉闕・金闕・禁闕・玄闕・高闕・袞闕・朱闕・城闕・神闕・石闕・双闕・闕・朝闕・帝闕・伏闕・墓闕・鳳闕・亡闕・北闕・門闕・遊闕・琳闕・恋闕・楼闕・漏闕

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改訂新版 世界大百科事典 「闕」の意味・わかりやすい解説

闕 (けつ)
què

古代中国の宮殿祠廟陵墓などの門前の両脇に張り出して左右対称に設けられた望楼。中間が闕然として何もないことから,その名がある。闕の名称は西周時代の文献にすでに見える。一般に高い基壇の上に楼閣を立てたが,のちには石造でそのかたちをかたどったものもつくられた。実物としては高頤(こうい)闕などの漢代の石造墓闕や,画像石に描かれたもの,壁画墓の墓道両脇に描かれたもののほか,北京故宮の午門がこの形式になる。
石闕
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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【宮廷】より

… 絶対王政と深く結びついたこの宮廷は,宮廷対地方という構図で展開したイギリス革命において地方に打ち破られ,フランス革命においてもまた,ルイ16世のパリへの連れ戻し,ついでその処刑によって解体することになる。【二宮 宏之】
【中国】
 中国では,宮廷というのは帝王の居処のことであり,宮庭とも書かれ,〈朝廷〉〈宮闕(きゆうけつ)〉あるいは単に〈朝〉〈闕〉といわれ,しばしば商品交易の場である〈〉と対して呼ばれた。《周礼(しゆらい)》考工記によれば,国都を造営する際には,中央に王宮をおき,東に宗廟,西に社稷(しやしよく),前方つまり南に〈朝〉,後方つまり北に〈市〉を設けたし,《周礼》全体の記述からみると,天子には三朝があったことになり,路門より内側を天子の日常起居する場所である燕朝といい,路門外,応門内を天子が毎日臨御して政事をみる場所たる治朝といい,応門外,皋門(こうもん)内を朝士が政事をつかさどる場所たる外朝といったとされ,全体を内朝と外朝とに二大別するときは燕朝と治朝をあわせて内朝といったのである。…

【石闕】より

…中国古代において,城門,宮殿,祠廟,陵墓などの入口に立てた1対の高層建物をとよんだ。闕の名はその間が欠けて道路になることから,よんだとする説が有力である。…

【門】より

…明・清時代の宮殿である紫禁城が,天安門から端門,午門,太和門を経てはじめて太和・中和・保和三殿の中心部に達する構成をもつのは,こうした古代の制度を踏襲した結果である。古代の宮殿などの大門には,前方左右対称に張り出した門楼を付設する(けつ)という形式が常用され,その制度は紫禁城午門に現存する。これらの城門や宮門は,通常,高い基台をもち,その下部をくりぬいた門洞とし,上部に門楼をいただく形式になる。…

※「闕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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