食込む(読み)クイコム

デジタル大辞泉 「食込む」の意味・読み・例文・類語

くい‐こ・む〔くひ‐〕【食(い)込む】

[動マ五(四)]
強く深く入り込む。食い入る。「縄が手首に―・む」「爪が肌に―・む」
他の範囲領域にまで入り込む。「会議昼休みに―・む」「初出場で堂々二位に―・む」「独占市場に―・む」
支出が多くなって蓄えなどを減らす。赤字になる。「予備費に―・む」
[類語](3損する割を食う本が切れる穴をあける割が悪い間尺に合わない足が出るロス大穴丸損マイナス損失損害実害赤字被害不利益損亡そんもう欠損実損差損出血持ち出し採算割れ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「食込む」の意味・読み・例文・類語

くい‐こ・むくひ‥【食込】

  1. 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
  2. 他の物の中に深く入りこむ。めりこむ。
    1. [初出の実例]「餠の中へ堅く食ひ込んで居る歯を」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)
  3. 他の領域、範囲にはいりこむ。侵入する。
    1. [初出の実例]「自分の手の届く所から段々に食(ク)ひ込(コ)んで行かうといふんだ」(出典明暗(1916)〈夏目漱石〉一五二)
  4. 強いまなざしで見つめる。食い入る。
    1. [初出の実例]「手ばしこく文典を開けて〈略〉ぴったり眼で喰込んだ〈略〉やうな面相(かほつき)をして」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
  5. 収入が少ないのに、支出が多いため、所持金やもとでが減る。
    1. [初出の実例]「三十四五度も商売かへられしうちに今は残らず喰込(クヒコミ)て何をすべきたよりもなく」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)二)
  6. 捕えられることをいう、盗人仲間の隠語
    1. [初出の実例]「武田さんは名古屋で喰(ク)ひ込(コ)み掛ったから豊橋の在まで逃げて来て」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中)

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