日本大百科全書(ニッポニカ) 「香合(こうあわせ)」の意味・わかりやすい解説
香合(こうあわせ)
こうあわせ
2種の香を比べ、その匂(にお)いのよさを競う遊び。香は本来仏供養に用いられるものであったが、平安時代には、その匂いを楽しむ風が貴族社会に広まり、数種の香料を調合した薫物(たきもの)を合わせて優劣を競う薫物合(あわせ)が物合の一つとして行われるようになった。薫物は一種の練香(ねりこう)で、梅花・荷葉(かよう)などの名がつけられており、平安時代の貴紳らが処方の伝授者に擬せられているが、人ごとに調合法には多少の差がある。他の物合同様に判者が置かれ、単なる匂いの優劣のみならず、その銘の文学的興趣も判定の対象となった。室町時代に至り、薫物のかわりに沈香(じんこう)などの香木が用いられるようになったが、これを名香合と称する。
[杉本一樹]