デジタル大辞泉
「黙」の意味・読み・例文・類語
もだ【▽黙】
1 黙っていること。
「大海よろこびて自ら―ある事能はずして」〈雄略紀〉
2 何もしないでぼんやりしていること。
「―もあらむ時も鳴かなむひぐらしの物思ふ時に鳴きつつもとな」〈万・一九六四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
だんまり【黙】
〘名〙 (「だまり(黙)」の変化した語)
① (形動) だまっていること。
無言。また、そのような人やさま。無口。
※
歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立「
くだって此方一度も出合ぬ六部どのに、ふしぎに廻りあいながら、
だんまりでわかるるも」
② (形動) 一応のことわりもしないこと。無断。また、そのさま。または、隠して言わないこと。
※
洒落本・青楼五雁金(1788)一「ゆふきよりしまちりめんにしてしょじだんまりのかくしうらはがくむくがいい」
※人情本・恩愛二葉草(1834)三「
謝礼として一包の金を密に動介へ贈りける。〈略〉主人成清にも無言
(ダンマ)りにて是れを着腹なし」
③ 歌舞伎の演出の一つ。くらやみの中で、登場人物が無言で演じるさぐり合いの立ち回りの場面を様式化したもの。
時代だんまり、
世話だんまりの
区別があるが、時代だんまりは、独立した一幕物としても上演される。だまり。
※
滑稽本・
浮世風呂(1809‐13)四「
役者が
三人出て、だんまりとかがんばりとかで、何かわからず引ぱり合て幕をちょいとしめる」
もだ【黙】
〘名〙
※
書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「皇子其の害らむとすることを見て黙
(モタ)坐しまして語
(ものものたま)はず」
② 何もしないこと。手をつかねてじっとしていること。
※
万葉(8C後)一七・三九七六「咲けりとも知らずしあらば母太
(モダ)もあらむこの
山吹を見せつつもとな」
だま・る【黙】
〘自ラ五(四)〙
① ものを言うことをやめる。沈黙する。音がしなくなる。
※俳諧・炭俵(1694)上「桐の木高く月さゆる也〈
野坡〉 門しめてだまってねたる面白さ〈
芭蕉〉」
②
意見を述べないでいる。
主張、考えを口に出さないでいる。
だまり【黙】
① だまること。話をしないこと。沈黙。〔羅葡日辞書(1595)〕
※和英語林集成(初版)(1867)「Damari(ダマリ) ノ マク」
もく‐・する【黙】
〘自サ変〙 もく・す 〘自サ変〙 ものを言うことをやめる。だまる。もだす。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三「ひさしくこの要を黙(モク)(〈注〉モノイワス)して、いそぎて、すみやかにときたまはず」
だまりん【黙】
〘名〙 (形動) 黙っていること。また、そのさまやその人。だんまり。
※洒落本・大劇場世界の幕なし(1782)「此内しぢうだまりんで、忠兵衛としたいてにらみくらをしている」
もく【黙】
〘名〙 だまっていること。口をきかないで静かにしていること。
※正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法「いはんや黙の黙を学すべしとだにもしらず」 〔礼記‐中庸〕
もだし【黙】
〘名〙 (動詞「もだす(黙)」の連用形の名詞化) 黙っていること。沈黙。〔文明本節用集(室町中)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報