十日戎(読み)トオカエビス

デジタル大辞泉 「十日戎」の意味・読み・例文・類語

とおか‐えびす〔とをか‐〕【十日×戎/十日恵比須】

正月10日に行われる初恵比須祭り兵庫県西宮神社大阪今宮戎神社・京都建仁寺などのものが有名。 新年

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精選版 日本国語大辞典 「十日戎」の意味・読み・例文・類語

とおか‐えびすとをか‥【十日恵ヱ比須・十日戎】

  1. 〘 名詞 〙 大阪の今宮戎神社、兵庫県の西宮などの蛭子(えびす)神社で、毎年正月一〇日に行なわれる祭。一般にはえびす講と称して正月と一〇月二〇日にまつる。種々の縁起物玩具を笹につけた吉兆(小宝)、面、ねじ飴などが売られ、福徳があるとして、商人などの参詣でにぎわう。初恵比須。《 季語・新年 》 〔日次紀事(1685)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十日戎」の意味・わかりやすい解説

十日えびす
とおかえびす

毎年正月 10日に行なわれる初えびすの行事(→戎講)。主として西日本で行なわれ,なかでも兵庫県西宮市西宮神社の「十日えびす」,大阪府大阪市浪速区の今宮戎神社の「十日戎」,福岡県福岡市博多区の十日恵比須神社の「正月大祭」はよく知られている。1月8日または 9日の宵えびすから始まり 11日の残りえびすで終わるが,特に 9日と 10日に,一年の商売繁盛を祈願し,小判米俵などを束ねた吉兆と呼ばれる吉祥物をつけた福笹をいただこうとする多くの参拝者でにぎわう。今宮戎神社では,一般から募集した福娘と呼ばれる若い女性たちが福笹を授与する。西宮神社の「十日えびす」では,宵えびすの深夜12時に神社のすべての門を閉じて神職お籠りする居籠りが始まり,翌 10日早朝4時に十日えびす大祭を行なったあと,午前6時に表大門の開門となる。この際,開門を待ちわびていた参拝者が競走して 230m先の本殿に「走り参り」をし,早く本殿前に着いた上位 3人が,一番福,二番福,三番福と呼ばれるその年の福男に認定される。博多の十日恵比須神社では,かつてこの祭りで「えびす銭」と称して商売の元銭を貸し出し,商売がうまく行けば翌年の祭りに倍にして返すならわしがあったことにちなみ,一文銭の授与が行なわれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十日戎」の意味・わかりやすい解説

十日戎
とおかえびす

近畿以西で1月10日に行われる行事。えびす(戎・夷・恵比須)は本来漁業神であるが、東日本などでは農業神とも考えられ、旧暦10月20日と1月20日にえびす講がある。それに対して兵庫県西宮(にしのみや)市の戎社(西宮神社)の信仰圏では、市(いち)の日と結び付けたものか1月10日で、9日を宵(よい)戎、11日を残り戎という。大阪市の今宮戎神社では宝恵籠(ほえかご)といって、盛装した芸妓(げいぎ)たちがあでやかな練り込みをする。東京の酉(とり)の市(いち)と同様、ササに種々の縁起物をつるした福笹(ふくざさ)を売る。京都建仁(けんにん)寺や福岡市の恵比須(えびす)神社にも十日戎がある。

[井之口章次]


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百科事典マイペディア 「十日戎」の意味・わかりやすい解説

十日戎【とおかえびす】

1月10日の戎神の祭をいう。大阪市今宮戎神社の祭が名高い。この日を中心に3日間市(いち)が立ち,芸妓たちの乗った宝恵駕籠(ほえかご)がかつぎ出される。参拝者は小ザサにつるした縁起物などを買って帰る。
→関連項目浪速[区]

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事典・日本の観光資源 「十日戎」の解説

十日恵比須

(福岡県福岡市博多区)
福岡県文化百選 祭り・行事編」指定の観光名所。

十日戎

(滋賀県長浜市)
湖国百選 祭/踊編」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の十日戎の言及

【夷講】より

…また,12月8日を百姓えびす,10月20日を商人えびすという土地もある。関西では,今宮・西宮の十日戎(とおかえびす)と称して,1月10日ににぎやかな祭礼があり,10月20日を誓文払(せいもんばらい)と呼び,商家の売出しが行われたりする。近世の上方商人の間では,仲間を招いて祝宴を開き,商売繁盛を願うなど,同業者の講としての性格が強かった。…

【季語】より

…季語は,季節(四季)による世界の分節化・秩序化であり,各季語の来歴は,日本人の感覚と思考の軌跡だといってよいだろう。歳時記【坪内 稔典】
【季語表】

[新年]
 年立つ,去年今年(こぞことし)(年去り年来るあわただしさ),元日,御降(おさがり)(正月三が日の雨や雪),松の内(門松を立てている期間),七草粥,七草はやす(七草をまな板の上でたたく鳥追い行事),左義長(さぎちよう)(新年の飾りを焼き年神(としがみ)を送る),松過(まつすぎ)(門松などを取り去ったあとしばらくの期間),十日戎(とおかえびす)(1月10日の初恵比須),鏡開,小正月(元日の大正月に対して15日をいう),藪入(1月16日。使用人が生家へ帰るならわしだった),門松,注連飾(しめかざり),餅花(穀物の豊作を予祝する小正月の飾り),蓬萊,若水(元日の朝にくむ水),雑煮,鏡餅,屠蘇,太箸(正月用の白木の箸),年男(新年の儀式,家事などをつかさどる男),年始,年玉,万歳(松の内に祝言を述べた門付芸),独楽(こま),歌留多,初夢(その年の吉凶を占う夢),初荷,御用始(官庁の仕事始め),鍬初(くわぞめ)(農耕の仕事始め),初市,書初,初場所(1月の大相撲),初釜(はつかま)(新年最初の茶の湯),破魔弓(子供の厄よけのお守り)。…

※「十日戎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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