従う(読み)シタガウ

デジタル大辞泉 「従う」の意味・読み・例文・類語

したが・う〔したがふ〕【従う/随う/順う/遵う】

[動ワ五(ハ四)]
後ろについて行く。あとに続く。「案内人に―・う」「前を行く人に―・って歩く」
沿う。たどる。「川の流れに―・って下る」「標識に―・って進む」
他からの働きに順応する。
法律慣習意見などに逆らわないでそのとおりにする。意のままになる。服従する。「法の定めるところに―・う」「指示に―・って行動する」「意向に―・う」
ほかの力のままに動く。任せる。「風に―・うあし

㋐応じる。また、順応する。「問いに―・って答える」「条件に―・って賃金が異なる」
㋑ならう。まねる。「見本に―・って作る」
たずさわる。従事する。「業務に―・う」
(「…にしたがい」「…にしたがって」の形で)…につれて。…とともに。「年をとるに―・い円満さを増してきた」「登るに―・って気温が下がる」
[可能]したがえる
[動ハ下二]したがえる」の文語形
[類語](1付くくっつく随行する随伴する随従する追随するお供/(3)(4服する応ずるのっとそくする準ずるなら準拠する依拠する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「従う」の意味・読み・例文・類語

したが・うしたがふ【従・随・順】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
    1. あとについて行く。随行する。おともをする。
      1. [初出の実例]「したがひきたりしものどもも、るいにふれて逃げ去り、もとの国に帰り散りぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
      2. 「きつねと云ものは〈略〉あたかもみにかげのしたがふごとく、かやうに執心のふかきものにて候ぞ」(出典:虎明本狂言・釣狐(室町末‐近世初))
    2. 相手の勢いに負けて降参する。服従する。
      1. [初出の実例]「百姓艾安(をさまりやすく)て四夷(よものひな)賓服(まうてきシタカフ)」(出典日本書紀(720)雄略二三年七月(前田本訓))
      2. 「是等は皆旧主先皇の政にもしたがはず」(出典:平家物語(13C前)一)
    3. さからわないで、言うなりになる。
      1. [初出の実例]「おのがなさぬ子なれば心にもしたがはずなんある」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    4. 自然の力、欲望などに動かされるままに任せる。
      1. [初出の実例]「まつしまの風にしたがふ波なればよるかたにこそたちまさりけれ」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      2. 「欲に随て志を遂げんと思はば、百万の銭ありといふとも、暫も住すべからず」(出典:徒然草(1331頃)二一七)
    5. 道、川などに沿って進む。たどる。
      1. [初出の実例]「時に彼の衆の魚も、亦復随逐して、崖に循(随也)ひて行く」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
    6. きまりや習慣などのままに行動する。
      1. [初出の実例]「西域の制度に放(なら)ひて、此の旧式に循(シタカハ)ず」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七)
    7. 物事の程度に応じる。また、時、場所、状態などに順応する。
      1. [初出の実例]「あはれ、ほどにしたがひては、おもふ事なげにても行かな」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
      2. 「世にしたがへば、身くるし。したがはねば狂せるに似たり」(出典:方丈記(1212))
    8. ある物事が、他の物事の変化に対応する。
      1. [初出の実例]「まづ申すべきことをも、ただおぼゆることにしたがひて、しどけなくまうさん」(出典:大鏡(12C前)六)
      2. 「月日のかさなるにしたがひて、我身の年のゆく事をば歎かずして」(出典:平家物語(13C前)二)
    9. ある事にたずさわる。従事する。ある仕事につく。
      1. [初出の実例]「八十艘(やそ)の船に載せて、官軍(みいくさ)に従(シタカハ)(し)む」(出典:日本書紀(720)神功摂政前一〇月(北野本南北朝期訓))
      2. 「帯剣の役に随へり」(出典:太平記(14C後)四〇)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙したがえる(従)

従うの補助注記

接続詞「したがいて」「したがって」は[ 一 ]用法から出たと見られるが、その動詞性から「したがいまして」の言い方が丁寧な語法として近来現われている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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