富山市(読み)トヤマシ

デジタル大辞泉 「富山市」の意味・読み・例文・類語

とやま‐し【富山市】

富山

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「富山市」の解説

富山市
とやまし

面積:二〇八・七八平方キロ

富山県の中央部に位置。東は滑川なめりかわ市と中新川なかにいかわ上市かみいち町・舟橋ふなはし村・立山町、南は上新川郡大山おおやま町・大沢野おおさわの町、西は婦負ねい婦中ふちゆう町・八尾やつお町、射水いみず小杉こすぎ町・しも村および新湊市に接し、北は富山湾に面する。近世には越中唯一の城下町があり、富山藩領のみならず越中全域の政治・経済・文化の中心として大きな役割を果した。市域は旧新川郡西部・婦負郡北部および射水郡東部から構成される。地形は東部を北流する常願寺川、呉羽山くれはやま丘陵の東麓を北流する神通川によって三地域に区分され、大部分は常願寺川・神通川両川とその支流によって形成された複合扇状地である。市街地を国道四一号が抜けて南に向かい、市域北部を東西に国道八号・四一五号などが通る。南部を走る北陸自動車道には富山インターチェンジが設けられている。鉄道はJR北陸本線・高山本線・富山港線、富山地方鉄道本線・同不二越線・同上滝線が通り、南部には富山空港がある。富山の地名は中世の外山とやま(富山郷)に由来すると考えられ、真言宗富山ふせん寺にちなむとする伝承もある。

〔原始〕

遺跡は呉羽山丘陵・神通川・常願寺川・白岩しらいわ川・上市かみいち川の周辺に分布する。旧石器時代の遺跡は約二〇ヵ所知られるが、北代きただい遺跡から平岡ひらおか遺跡まですべて呉羽山丘陵上に立地する。ナイフ形石器を主とするが、東北系と瀬戸内系の両方の要素がみられる。しかし石器の出土数は少なく、小規模な遺跡が多い。縄文時代の遺跡には早期から晩期までがあるが、多くは旧石器時代と同じく呉羽山丘陵上や山麓に位置する。ただ前期の小竹おだけ貝塚は射水平野の東端、古放生津こほうじようづ潟の周辺に立地し、貝塚は現地表から約一メートル以上の深さに堆積している。小竹貝塚の東、丘陵の最末端部には前期のしじみもり貝塚がある。北代遺跡は旧石器時代から古代にいたる大遺跡で、縄文時代の竪穴住居跡が多数発掘されている。後期から晩期の遺跡は丘陵上のほか、岩瀬天神いわせてんじん遺跡や豊田とよた遺跡に代表されるように低地に進出する。また中期から晩期にかけて古沢ふるさわ遺跡や豊田遺跡などからはドングリ類やクリなどの木の実が出土しており、古沢A遺跡からは巨木を方形に配置した遺構が検出された。

弥生時代から古墳時代初頭の遺跡の多くは神通川や常願寺川・白岩川の下流に位置する。それらは岩瀬天神遺跡や豊田遺跡のように縄文時代晩期から引続くものも多い。おもな出土遺物には、土器のほか太形蛤刃石斧や扁平片刃石斧など弥生時代を特徴づける石器がある。


富山市
とやまし

2005年4月1日:富山市と上新川郡大山町・大沢野町、婦負郡細入村・八尾町・山田町・婦中町が合併
【大山町】富山県:上新川郡
【大沢野町】富山県:上新川郡
【細入村】富山県:婦負郡
【八尾町】富山県:婦負郡
【山田村】富山県:婦負郡
【婦中町】富山県:婦負郡
【富山市】富山県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「富山市」の意味・わかりやすい解説

富山〔市〕
とやま

富山県富山平野の中央部,神通川常願寺川の下流域一帯から県南東部の広域を占める中核市。南部で岐阜県と,東部で長野県と接する。北は富山湾に面する。県庁所在地。1889年市制。1960年に和合町,富南村,1965年に呉羽町,1966年に水橋町を編入。2005年大沢野町,大山町,八尾町,婦中町,山田村,細入村と合体。中心市街地は天文1(1532)年,水野越前守勝重が富山城を築城後,佐々成政を経て江戸時代には富山藩 10万石の城下町として繁栄した。藩の勧業政策により製薬業と家庭配置薬業が発展,「富山の薬屋さん」として親しまれた。大正末期から河川開発による豊富な電力と水,水稲単作地帯の労働力をもとに鉄鋼,機械,化学,繊維工業が立地して工業都市に発展。1964年富山高岡新産業都市(→富山高岡工業地域)に指定された。農村部では米作を主とし,タバコ,ダイコンラッキョウなどの野菜栽培,林業,畜産が行なわれる。中部山岳国立公園の立山および黒部峡谷を探勝する立山黒部アルペンルートの起点。中心市街地には富山城址公園立山連峰の展望台といわれる呉羽山公園(→呉羽丘陵),公園内の長岡御廟(富山藩主墓所),長慶寺の五百羅漢などがある。南東部は飛騨山脈や立山連峰の山々がそびえ,中部山岳国立公園に属する。南部,岐阜県との県境,神通川左岸の断層面にある猪谷の背斜・向斜,横山楡原衝上断層は国の天然記念物。南西部の八尾は毎年 9月1~3日のおわら風の盆には民謡『越中おわら節』と踊りでにぎわう。北部を国道8号線,市街地を JR北陸本線,北陸自動車道が横断,国道41号線,および JR高山本線が JR富山港線と結んで市内を縦断している。また,富山地方鉄道の起点ともなっている。中部に富山空港がある。面積 1241.74km2(境界未定)。人口 41万3938(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android