デジタル大辞泉 「な」の意味・読み・例文・類語
な[終助・間助・格助・係助]
1 動詞・動詞型助動詞の終止形、ラ変型活用語の連体形に付く。禁止の意を表す。「油断する
「かの尼君などの聞かむに、おどろおどろしく言ふ―」〈源・夕顔〉
2 《補助動詞「なさる」の命令形「なさい」の省略形》動詞・動詞型助動詞の連用形に付く。命令の意を表す。「早く行き
3 活用語の終止形、助詞に付く。
㋐軽い断定・主張の意を表す。「これは失敗だ
㋑(多く「なさい」「ください」「ちょうだい」などに付いて)命令をやわらげていう意を表す。「これください
㋒相手の返答・同意を求めたり、念を押したりする意を表す。「君も行ってくれるだろう
「こは
㋓感動・詠嘆の意を表す。「この暑さにはまいった
「花の色はうつりにけり―いたづらにわが身世にふるながめせしまに」〈古今・春下〉
4 《上代語》動詞・動詞型助動詞の未然形に付く。
㋐自分の決意・願望を表す。…しよう。…したい。
「帰るさに妹に見せむにわたつみの沖つ白玉
㋑他に対する勧誘・願望の意を表す。…しようよ。
「梅の花今盛りなり思ふどちかざしにして―今盛りなり」〈万・八二〇〉
[間助]文末や、文中の種々の切れ目に用いる。語勢を添えて、自分の言葉を相手に納得させようとする気持ちを表す。「あの店は
[格助]
1 《上代語》名詞に付く。連体修飾格を示す。の。
「ま―かひに、もとなかかりて」〈万・八〇二〉
2 《格助詞「に」の音変化。上代東国方言》時間・場所を表す。に。
「草陰の
[補説]1は現在「まなこ(眼)」「みなと(港)」などの語にその形をとどめる。
[係助]係助詞「は」が直前の撥音「ん」と融合して音変化したもの。
「また
[補説]能・狂言・平曲などに行われたが、本文表記は「は」のままなのが普通。
な[助動]
断定の助動詞「だ」の連体形。
1 断定の助動詞「なり」の連体形「なる」の音変化「なん」の、撥音の無表記。→ななり →なめり →ならし
2 《中世語》断定の助動詞「なり」の連体形「なる」の音変化。
「
完了の助動詞「ぬ」の未然形。→ななむ →なむ →なまし
打消しの助動詞「ず」の未然形の古形。→なく →なくに →なな
な[副]
1 あとに動詞の連用形(カ変・サ変は未然形)を伴って、禁止の意を表す。…するな。
「妹があたり
2 「な…そ」の形で、動詞の連用形(カ変・サ変は未然形)を間にはさんで、相手に懇願しつつ婉曲に禁止する意を表す。どうぞ…してくれるな。
「ほととぎすいたく―鳴きそ