仕立て(読み)シタテ

デジタル大辞泉 「仕立て」の意味・読み・例文・類語

し‐たて【仕立て】

作り上げること。特に、衣類を縫って作ること。また、そのできばえ。「仕立てのよい背広」「正絹仕立て
目的に合わせて作り上げること。また、それらしく作り上げること。「ミュージカル仕立ての劇」「和風仕立てスープ
教え込むこと。仕込むこと。「仕立ての厳しい師匠」
準備して調えること。特に、ある目的・用途のために乗り物などを用意すること。「特別仕立て列車
装うこと。また、そのいでたち。
一人はかわ色金巾かなきん羽織に紫の兵子帯へこおびという坊様―」〈一葉たけくらべ
[類語](1裁縫縫い物針仕事繕い物手芸編み物刺繍

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仕立て」の意味・わかりやすい解説

仕立て
したて

一般には手をかけ加工してつくりあげることをいうが、園芸用語では、主として植木果樹盆栽を育てて形づくることをさし、幹や枝、葉などがある程度成長した樹木を、目的とする姿(形)につくりあげる作業過程を仕立てとよぶ。広義には手入れ作業も含まれる。なお、苗や完成された庭木の場合は、苗つくり(育苗)、剪定(せんてい)、刈り込み、摘心などに区別し、手入れ作業か管理作業に組み入れることが多い。

 植木の仕立ては、樹種や配置する場所によって多少異なるが、いずれにしろ樹種の性質特徴を利用した形づくりが必要である。仕立て方としては、まず、樹種の特徴を生かした樹冠(姿)を描き、幹の美しさを表現するために直立させるか模様をつける(曲幹にする)かを決める。続いて、枝の配置(枝配り)を考え、幹とともに全体の形づくりをする。次に葉の形や大きさによって刈り込みの形を決める。粗木から仕立てる場合は、生育良否をみて、また、幹や枝の扱いのむずかしいものは1、2年肥培管理して、充実した幹や枝、葉にしてから手を入れる。

 仕立て上の留意点としては次のようなことがあげられる。

(1)樹形の維持 若木では生育が旺盛(おうせい)なため徒長枝や交差枝などが出やすいので、つねに軽く剪定、刈り込みして整姿する。仕立て途中で放任すると懐枝(ふところえだ)が枯れて全体の形が崩れる。

(2)枝葉の若返り 植木全般に共通することとして、樹冠上部は著しく繁茂するが、下部は成長が悪いので、年に一、二度は茂りすぎた上部の枝葉を切り込むか間引いて調節する。

(3)病虫害の防除 仕立て途中で幹や枝、葉が病虫害に侵されると樹勢が衰えて観賞価値を失うので、定期的に殺菌剤や殺虫剤を散布して樹勢の維持を図る。

[堀 保男]


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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「仕立て」の解説

じたて【仕立て】

汁物や鍋料理などの調理法を表す言葉。また、料理自体をもいう。「吉野(くず)仕立て」「みそ仕立て」「すまし仕立て」のように、(実ではなく)汁の部分に用いる主たる食材や調味料、汁の特徴などを示す語のあとにつけて用いる。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の仕立ての言及

【和裁】より

…和服の裁ち縫い。〈お針〉〈仕立て〉〈裁縫〉ともいう。今日のような繊細な縫い方が行われるようになったのは,小袖が定着した江戸初期ころという。…

※「仕立て」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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