デジタル大辞泉
「半纏」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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はん‐てん【半纏・半天・袢纏】
- 〘 名詞 〙
- ① 一種の上着。羽織に似るが、実生活むきに簡略化されて、腋(わき)に襠(まち)がなく、丈もやや短めで胸紐をつけず、襟も折りかえさないで着るもの。主として江戸時代から用いられた。革半纏・印(しるし)半纏・蝙蝠(こうもり)半纏・長半纏・ねんねこ半纏・刺子(さしこ)半纏などがある。
半纏①〈四時交加〉
- [初出の実例]「市松染のはんてんを着」(出典:談義本・無而七癖(1754)三)
- ② 特に、印半纏をいう。
- [初出の実例]「きをひ組の夫婦喧嘩〈略〉『よしてくれろ。白無垢も持たねいで』『ヲヲ白無垢がなくても、鱗の半てんで』」(出典:咄本・聞上手(1773)幽霊)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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半纏
はんてん
半天とも書く。防寒用、仕事用の和服の上着。形は羽織に似ていて、腰ぐらいの丈。羽織と異なる点は、襠(まち)がつかず、前下がりがない。衿(えり)は折り返さないで着る。袖(そで)は広袖のほか、袂(たもと)袖、巻袖(捩(もじり)袖)がある。巻袖はアサリ売りが着ていたところから剥身屋(むきみや)半纏ともいわれた。黒八丈、黒繻子(じゅす)などの掛け衿をかけることが多い。元来は胸紐(ひも)はつけないが、現在では共紐をつける場合もある。仕立てには綿入れ、袷(あわせ)、単(ひとえ)がある。
半纏は18世紀末からみられ、天保(てんぽう)の改革(1841~1843)で女羽織が禁止されたため、庶民の衣服としていっそう広まった。江戸時代から着られた半纏の種類には次のようなものがある。(1)ねんねこ半纏、亀(かめ)の子半纏 赤ん坊を背負ったときに上から羽織る。(2)印(しるし)半纏 紺木綿、ときには茶木綿に屋号や家紋を白抜きに染めた。大工、植木屋などの職人の仕事着。商店員が着るアツシなどもある。(3)長半纏 丈は長着より20センチメートルくらい短い。鳶職(とびしょく)の火事場用、防寒用に着られたもの。紺木綿の刺子(さしこ)製が多い。裏に武者絵の描かれたものもある。(4)革半纏 鳶頭(とびがしら)などが着た防寒、火事場用。黒、茶、菖蒲革(しょうぶがわ)などでつくる。同色の革紐を胸につける。裏を別染めにし、裏返しに着ることもある。家紋、屋号、記号を白く染め抜くのは印半纏と同様である。(5)蝙蝠(こうもり)半纏 19世紀前半から旅商人が引回し合羽(かっぱ)のかわりに着た。丈が短く、長めの広袖で、コウモリの羽を広げた形に似ているところから名づけられた。格子柄の木綿を用いた。
[岡野和子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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半(袢)纏【はんてん】
男女とも長着の上にはおる衣服。半天とも書く。羽織に似ているが襠(まち)も胸紐(ひも)もなく,衿(えり)も折り返らない。江戸時代から庶民の略服,防寒衣とされ,紬(つむぎ)などの縞(しま)物に黒の掛衿をかけたものが多い。ほかに綿入袢纏,ねんねこ袢纏(ねんねこ)や,職人の着る紺木綿に屋号や紋を染め抜いた印(しるし)袢纏,火消の刺子(さしこ)袢纏,漁師の大漁袢纏などがある。
→関連項目腹掛け|股引
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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半纏
はんてん
半天とも書く。和服の一種で,労務用と防寒用がある。普通の羽織と異なる点は,襟返しがなくて黒繻子や黒八丈などの掛襟をすることと,前結びの紐がないこと。袖は筒袖かもじり袖で,長さは腰丈。防寒用は綿入れで,子供を背負って上から着るねんねこ半天,子供物の亀の子半天などもある。職人などは,長半天や印半天など,主として木綿仕立てで,屋号や組名,組印が染めてあるものを,盆や正月に親方から与えられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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