大分市(読み)オオイタシ

デジタル大辞泉 「大分市」の意味・読み・例文・類語

おおいた‐し〔おほいた‐〕【大分市】

大分

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日本歴史地名大系 「大分市」の解説

大分市
おおいたし

面積:三五九・八八平方キロ

県のほぼ中央東部に位置する。北は別府湾に臨み、東は北海部郡佐賀関さがのせき町・臼杵うすき市、南は大野郡野津のつ町・犬飼いぬかい町・大野町、西は大分郡野津原のつはる町・挟間はさま町、別府市と接する。東に九六位くろくい(四五一・七メートル)、南に天面てんめん(四〇三メートル)、西に障子しようじ(七五〇・八メートル)りよう(五九六メートル)高崎たかさき(六二八・四メートル)などの山々が取囲む、東西約二四キロ、南北約二二キロの地域からなる。高崎山から東方に舌状台地が上野うえの丘まで延び、また霊山山系から北に猪野いの洪積台地が延びる。猪野台地は市の中央部にあたり、台地西側には大分川、東には大野川が流れて別府湾に注ぐ。大分川は賀来かく地区で賀来川(由布川)を合流して川幅を広げ東流、さらに上野丘台地の南、豊後国府所在地といわれ条里遺構も残る南大分地区を東流して左折し、河口部左岸の沖積平野に市街中心地を形成する。大野川も豊かな水量で戸次へつぎ判田はんだから松岡まつおか地区の流域に農村地帯をつくり、河口には鶴崎つるさきの市街地が発達する。今日の大分市は、両川の河口地域を中心に別府湾北岸に展開する臨海工業地帯を控えて発展している。海岸近くを東西に国道一九七号、北から南東に同一〇号、北から南西に同二一〇号が通る。

〔原始〕

昭和三七年(一九六二)市域東部の丹生にゆう台地で旧石器の調査が始まった。同地は大野川右岸の洪積台地で、しかも北東に流れる丹生川に面した段丘があり、高い段丘ほど古いという地形から、発見された石器の出土場所による年代推定に大きな関心がもたれた。同四二年までの数次の発掘で、各種礫器の他にナイフ形石器・細石核などが出土し、後期旧石器時代から縄文早期にわたる遺物を包含した遺跡とみられている(丹生遺跡群)。縄文時代早期の遺跡は野田山のだやま遺跡・しようはる遺跡、乙津おとづ川左岸の横尾よこお貝塚などがある。同貝塚は早期から後期にわたる遺物を出土し、十数体の埋葬遺体も出土した。付近には後期の磨消縄文土器を出土した小池原こいけばる貝塚もある。後期はうら遺跡・丹生川にゆうがわ遺跡・羽田はだ遺跡、晩期には岩上いわがみ遺跡・雄城台おぎのだい遺跡などがある。弥生時代に入ると大分川下流域に花園はなぞの遺跡(中・後期)・羽田遺跡(同上)下郡しもごおり遺跡・賀来中学校遺跡(後期から古墳時代)がある。なかでも下郡遺跡はここ数年来の調査により縄文時代から近世に至る複合遺跡の存在が明らかにされつつあり、各時代に拠点集落が営まれていたと推定されている。なお、台地上には中期から後期の遺跡で銅鏡片を出土した守岡もりおか遺跡・雄城台遺跡・あまじよう遺跡などがある。


大分市
おおいたし

2005年1月1日:大分市が大分郡野津原町、北海部郡佐賀関町を編入
【野津原町】大分県:大分郡
【大分市】大分県
【佐賀関町】大分県:北海部郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大分市」の意味・わかりやすい解説

大分〔市〕
おおいた

大分県中東部に位置する中核市。県庁所在地。大分平野のほぼ全域と佐賀関半島の先端部を占め,別府湾に臨む。 1911年市制。 1963年鶴崎市,大南町,大分町,坂ノ市町の3町および大在村と合体。 2005年佐賀関町と野津原町を編入。北部の大野川大分川などの形成した複合三角州と,南部の第四紀層の台地,丘陵とを含む。中心市街地の大分は古代から豊後国の中心で,国府は市街地南部の古国府 (ふるごう) に置かれた。鎌倉時代以後は守護大友氏がこの地に館を置いたが,特に 21代大友宗麟はここを根拠として筑前国,筑後国,豊前国,豊後国,肥前国,肥後国の北九州6ヵ国を版図に収め,明,ポルトガルなどと貿易を行ない,海外文物の摂取,キリスト教の保護に努めた。大分川下流左岸,上野台地先端に形成された城下町は,当時九州の政治,経済,文化の大中心地であった。しかし大友氏の除国後は,豊後は小藩分立となり,当地は府内藩の城下町となった。府内藩は早川氏,福原氏,早川氏 (再封) ,竹中氏,日根野氏,大給氏と藩主が代わったが,慶長4 (1599) 年の早川長敏の再封以後幕末まで,いずれも2万~2万 3000石の小藩であったため,城下町の規模も小さく,明治4 (1871) 年に県庁所在地となってのちも発展が遅れ,市制がしかれるまで 40年もかかった。大正期になると紡績などの工業も興り,商圏も拡大し,県都としての機能も高まった。その後化学,製紙工業などを中心に近代化し,市域も拡大。 1964年には大分市を中心とする3市7町にまたがる地区が新産業都市に指定され,鉄鋼,石油化学工業を中心とする新たな工業都市づくりが進められた。佐賀関半島の関には銅のほか金,銀,ニッケル製錬工場がある。農業は沿岸部丘陵でミカンが栽培されるほか,内陸部で米作,野菜類,果樹類の栽培,肉牛飼育が行なわれる。漁場に恵まれ,アジ,サバ,タイ,ブリなどが大都市に出荷される。瀬戸内海国立公園に含まれる高崎山のサル生息地は国の天然記念物。そのほか後藤家住宅 (国指定重要文化財) ,豊後国分寺跡,元町石仏,高瀬石仏千代丸古墳古宮古墳 (以上国指定史跡) ,西寒多神社,柞原八幡宮 (神木のクスは国の天然記念物) といった名所・旧跡が残る。東部の佐賀関半島海岸部と高島日豊海岸国定公園に,西部の山岳地区は神角寺芹川県立自然公園にそれぞれ属する。 JR日豊本線大分駅から久大本線,豊肥本線が分岐,国道 10号線,197号線,210号線,217号線,442号線が通じ,大分自動車道のインターチェンジがある。大分川河口の桟橋からは,国東半島にある大分空港へのホバークラフト (エアクッション艇) が就航。面積 502.39km2。人口 47万5614(2020)。

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