デジタル大辞泉
「形相」の意味・読み・例文・類語
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けい‐そう‥サウ【形相】
- 〘 名詞 〙
- ① =ぎょうそう(形相)
- ② ( [ギリシア語] eidos [英語] form などの訳語 ) 哲学で、姿、形、形式などの意味で用いられる。プラトン哲学でいうイデア。アリストテレスでは、事物の質料を規定して、当の事物たらしめている原理。エイドス。→質料。
- ③ 外面的なかたち。形式。形態。
- [初出の実例]「能く時世の形相を知り」(出典:文明東漸史(1884)〈藤田茂吉〉内篇)
ぎょう‐そうギャウサウ【形相】
- 〘 名詞 〙 かおつき。すがた。現在では恐ろしい感じをうける顔つきをいう。
- [初出の実例]「艾人形相自蒼生、初出二雲溝一束帯成」(出典:菅家文草(900頃)四・端午日賦艾人)
- 「遣瀬ない嫉妬の情と憤怒とに怖ろしい形相(ギョウサウ)になって」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉後)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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形相【けいそう】
ギリシア語のエイドスeidos,イデアideaの訳。元来は〈形〉〈姿〉〈像〉の意。ある種類の事物を他から区別する本質的特徴。アリストテレスは素材,質料と相関的に使用し,形相と質料の対立を現実態(エネルゲイア)と可能態(デュナミス)の対立として説いた。プラトンの真実在としてのイデア観とあいまって,以降,質料に対する形相の優位が西洋哲学の基本動向となった。
→関連項目アリストテレス
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普及版 字通
「形相」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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形相
けいそう
eidos
一般に「質料」との対概念として用いられる。プラトンでは,ある一つの種を他から決定的に区別する述語形態,すなわち一般者を意味する。この一般者が結局定義を拒否し「ものそれ自体」に帰一するところから,個々の感覚的存在をこえた自己同一的な真実在としてのイデアと同一視されることもある。アリストテレスでは,質料と相関的に用いられ,可能態としての質料を限定する本質 (ウシア) ,種差,模範を意味する。たとえば材木が家の質料であるとすると,家についての観念は家の形相である。中世哲学においては形相は本質的なものと偶有的なものに分れたが,近世以降は概して素材,内容の対概念として用いられている。
形相
ぎょうそう
仏像の外見上の姿,形。広義には仏像の相好,着衣,荘厳具,姿勢,台座,光背など,その像の性格を規定している図像学上の特徴をさす。この形相によって尊像を識別できるが,同一の尊像でも種々の形相をとることがあるので,経典や儀軌の説と対照して決定する必要がある。 (→仏教図像学 , イコノグラフィー , イコノロジー )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の形相の言及
【悪】より
…一つはプラトンの宇宙形成説に近い考え方である。プラトン哲学では形相と質料の二元論をとる。形相はもののかたちにみられる理念であり,霊的要因を示す。…
【イデア】より
…イデア論の構想は,倫理的領域をこえて認識論,存在論,自然学などにわたる統一的な原理とされた。アリストテレスはこのプラトン的イデアを否定して,具体的な事物の内にある〈形相(エイドス)〉に置きかえ,中世ではイデアは神の精神の内容として解された。イデアという語は近世において英語の〈アイディアidea(観念)〉やドイツ語の〈[イデー]Idee(理念)〉に受けつがれたが,プラトンとは違った近世哲学独自の解釈を与えられた。…
【エネルゲイア】より
…〈エンテレケイアentelecheia〉(完成態,完全現実態)とも事実上同義で多く互換的に用いられる。彼は技術による製作も自然界の生育も,ともに可能態=質料(素材)から目的としての現実態=形相への移行としてとらえる。またその移行である〈動〉(運動,変化)そのものは,〈動かされうるものの動かされうるという資格での現実態〉と定義され,最終的な完成にいたっていないという意味で〈不完全な現実態〉とも呼ばれる。…
【西洋哲学】より
…このイデアは生成消滅するフュシスを超越して,永遠に同一でありつづける超自然的超時間的存在者である。そして,プラトンの考えでは,すべての存在者は〈形相(エイドスeidos)〉と〈質料=素材(ヒュレhylē)〉の結合体なのであるが,その存在者の〈何であるか〉を規定するのは,イデアを分有し,いわばその模像である形相である。したがって,存在者の〈何であるか(本質)〉はそれ自体では変化をまぬがれており,生成消滅するのはその質料的部分だということになる。…
※「形相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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