(読み)レン(その他表記)lián

デジタル大辞泉 「聯」の意味・読み・例文・類語

れん【聯】[漢字項目]

[音]レン(呉)(漢) [訓]つらなる つらねる
一つながりになる。つらなる。「聯合聯盟聯絡関聯
対等に並ぶ二つ詩句対句。「聯句頷聯がんれん頸聯けいれん尾聯
書画を分けて書き、左右一対で柱などに掛けるもの。「柱聯
[補説]1は「」と通用する。

れん【×聯】

[名]
書や絵を書き、または彫刻して、柱や壁などの左右に相対して掛けて飾りとする細長い板。対聯
漢詩で、律詩の中の対句の称。聯句。
詩のいくつかの行をまとめてくぎったもの。「第三
[接尾]れん(連)

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精選版 日本国語大辞典 「聯」の意味・読み・例文・類語

れん【聯】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 詩句または絵をかき、また彫刻して、柱や壁などの左右に相対して掛けて飾りとする細長い板。対聯。
      1. [初出の実例]「黄蘗の聯のからびや冬木立」(出典:俳諧・葎亭句集(1801)冬)
    2. 漢詩で、律詩の中の二句ずつの称。八句の律詩では、はじめから首聯・頷聯(がんれん)・頸聯・尾聯と呼ぶ。聯句。
      1. [初出の実例]「然ども是は一句一聯の事なり」(出典:詩学逢原(1763)上)
    3. ( から転じて ) 詩を数行ずつまとめてくぎった部分。節(せつ)
      1. [初出の実例]「この詩の三聯に於て」(出典:考察の秋(1922)〈北原白秋〉粗雑なる表現の一例)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙れん(連)[ 二 ]

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普及版 字通 「聯」の読み・字形・画数・意味


17画

[字音] レン
[字訓] つらねる・つづく・あわせる

[説文解字]

[字形] 会意
耳+(かん)。)は門関の形で、左右に貫くもの。〔説文〕十二上に「ぬるなり。耳に從ふ。耳は頰になるものなり。絲に從ふ。絲はなりてえざるなり」という。耳は馘耳(かくじ)。戦場で首級をえたときは、左耳をとった。〔周礼、夏官、大司馬〕に「たるは左耳を取る」とあり、取もまた耳を取りもつ意。その耳を撮(あつ)めて軍功を賞し、最も多きものを最という。最は多くの耳を撮めもつ意である。耳を連ねてもつので、のち聯続・聯属・聯及の意となるが、もとは馘耳をつなぐ意であった。

[訓義]
1. つらねる、つらなる、つづく。
2. あわせる、よせる。
3. ふたつならべる、ついにする、つい、れん。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕聯 太知豆良奴久(たちつらぬく)、、太加乃阿志乎(たかのあしを) 〔名義抄〕聯 ツラヌ・モトホル・ツラナル・モトホシ

[語系]
聯・(連)lianは同声。聯は耳を貫き連ねる意。は「おいこ」の類。を連続の意に用いるのは聯との通用義。(錬)lianも連属の意を含むとみられる。*語彙は連字条参照。

[熟語]
聯延・聯貫・聯関・聯環・聯騎・聯継・聯結・聯娟・聯巻・聯亘・聯合・聯鎖・聯事・聯珠・聯暑・聯城・聯接・聯属・聯帯・聯綴・聯轡・聯袂・聯璧・聯・聯歩・聯名・聯盟・聯綿・聯絡・聯吏・聯立・聯類
[下接語]
姻聯・楹聯・関聯・頷聯・起聯・頸聯・結聯・牽聯・紅聯・春聯聯・属聯・対聯・柱聯・比聯・尾聯・聯・綿聯・門聯

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改訂新版 世界大百科事典 「聯」の意味・わかりやすい解説

聯 (れん)
lián

中国で,2句でひと組の表現を一種の装飾として屋内や屋外に掲げたもの。たとえば塀・門柱戸口家屋内壁や外壁などに書きつけ,または木札・紙片に書いて掛けたり貼ったりする。〈爆竹一声除旧歳 桃符万戸換新春(爆竹一声 旧歳を除き 桃符万戸 新春に換わる)〉のように,両句は必ず同字数で,5字句・7字句を主とするが,4字句の場合もしばしばあり,字数の多いものは百数十字に達する。また両句は全体的にも部分的にも,意味上,語法上,同一構造であることを要し,爆竹と桃符(2字の名詞),一声と万戸(数字を含む2字の名詞),除と換(動詞),旧歳と新春(2字の名詞)というように,それぞれ対になる。また漢字の韻の二つの区分たる〈平仄ひようそく)〉に照らして,特に2・4・6字めは,竹(仄)・声(平)・歳(仄)のように交互に配置されねばならない。

 聯の種類は多様で,正月用が春聯,死者の哀悼用が挽聯で,たとえば〈寿終徳望在 身去音容存(寿は終れど徳望在り 身は去れど音容存す)〉,結婚祝賀用が婚聯で,たとえば〈白頭偕老 同心永結(白頭 偕(とも)に老い 同心 永に結ぶ)〉,そのほか長寿祝賀用の寿聯,出産祝賀用の賀喜聯等々。名勝や古跡をたたえる聯ももとより極めて多く,〈竜游鳳舞中天瑞 風和月朗大地春(竜は游び鳳は舞い 中天に瑞(めでた)く 風は和かに月は朗かに 大地は春なり)〉は北京の故宮の聯,〈天辺晴雪天山出 不断風雲地極来(天辺の晴雪 天山より出で 不断の風雲 地極より来る)〉は甘粛省の玉門関の聯である。聯を掲げる風習は,10世紀五代の後蜀の皇帝孟昶(もうちよう)の作〈新年納余慶 嘉節号長春(新年 余れる慶びを納め 嘉節 長え(とこしえ)の春と号す)〉に始まるといわれるが,これは春聯である。このように聯の起源は古いが,現代に至ってもなお,新しい内容を盛りこんだ作が至る所に見られるのであり,さらに聯の実例を集めた書物が次々と刊行されており,中国人の生活文化の象徴的な形態といえよう。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聯」の意味・わかりやすい解説


れん
lien

中国で,対句を書いたり刻んだりした細長い札のこと。中国では装飾として,柱に左右対称にして掛けたりした。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【韻律】より


[詩型]
 韻律の配置が詩型を決定する要件となる例として,中国には前述の絶句のほかに律詩などがあり,西欧にはテルツァ・リマterza rimaやソネットsonnetやバラードballadeなどがある。西欧の場合,こうした詩型は詩節もしくは聯(れん)stanza,stropheの概念に支えられているが,これはいわば複数の詩行から成るリズム単位の一種であると考えられる。そして各詩節ごとに脚韻の配置や繰返し句refrainの位置などの規則がある。…

【韻律】より


[詩型]
 韻律の配置が詩型を決定する要件となる例として,中国には前述の絶句のほかに律詩などがあり,西欧にはテルツァ・リマterza rimaやソネットsonnetやバラードballadeなどがある。西欧の場合,こうした詩型は詩節もしくは聯(れん)stanza,stropheの概念に支えられているが,これはいわば複数の詩行から成るリズム単位の一種であると考えられる。そして各詩節ごとに脚韻の配置や繰返し句refrainの位置などの規則がある。…

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