デジタル大辞泉
「誰」の意味・読み・例文・類語
だれ【誰】
[代]《古くは「たれ」》不定称の人代名詞。
1 名を知らない人、または、その人とはっきりわからない人をさす。「あの人は誰だ」「誰に渡せばよいのか」
2 (「だれか」の形で)自分以外の不特定の人をさす。「誰か来たようだ」「誰か欲しい人にあげよう」
3 (「だれも」の形で、打消しの語を伴って)全面的な否定を表す。「誰もいない」→たれ(誰)
[類語]どなた・何者・どの方・どの人・どいつ・何奴・どちら・何人・誰か・誰かさん・どなたか・誰か彼か・
たれ【▽誰】
[代]不定称の人代名詞。近世からしだいに「だれ」が一般的となり、現代では文語脈の中に残る。
「これにて見苦しとは―も得言わじ」〈鴎外・舞姫〉
「嬢子ども―をし枕かむ」〈記・中・歌謡〉
た【▽誰】
[代]不定称の人代名詞。だれ。たれ。→誰が
「―にかも依らむ神の宮人」〈記・下・歌謡〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
た【誰】
〘代名〙 (不定称) (
格助詞「が」を伴って連体修飾語として用いることが多い) =
たれ(誰)※
古事記(712)下・歌謡「
御諸に 築くや玉垣 斎
(つ)き余し 多
(タ)にかも寄らむ 神の宮人」
※
日葡辞書(1603‐04)「Taga
(タガ) コレヲ イタイタカ」
[語誌](1)「たれ」に比して
用法は限られ、もっぱら
和文に用いられ、訓読文における確実な
用例はない。
(2)格助詞「が」(連体修飾格・主格用法)、
係助詞「そ(ぞ)」(文末用法)をともなう時には、多くは「たが」「たそ」と用い、「たれが」「たれそ」はあまり見られない。特に、格助詞の場合、「の」ではなく「が」をともなう点で、他の人称代名詞「あ(吾)」「わ(我)」「な(汝)」に共通し、「が」ではなく「の」をともなう
指示代名詞「こ(此)」「そ(其)」「か・あ(彼)」とは対照的である。「天草本伊曾保」や
狂言にも「たが」「たそ」の形で用いられているところから、中世末ごろまで口語的性格を保っていたかとも考えられる。
だあれ【誰】
〘代名〙 (「たあれ」とも) 「たれ(誰)」の変化した語。不定称。多く打消の意を強めたり、問いかける時に用いられる。
※雑俳・柳多留‐八(1773)「だあれでも無いと綿の師屁をかぶり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報