文書の原本の内容を同一の文字符号により全部写したもので,原本の内容を証明するためにつくられる書面。内容の全部を写している点において,内容の一部を写しているにとどまる抄本と異なる。戸籍謄本(戸籍法10条),登記簿謄本(不動産登記法21条,21条の2,商業登記法11条),公正証書謄本(公証人法51条),訴訟記録の謄本(民事訴訟法91条)などがその例である。また手形の謄本(手形法67条。これを利用して裏書または手形保証ができる)などの例もある。刑事訴訟においては,謄本は,原本の存在および同一性が証明されない限り,原本と同一の証拠能力は認められないが,この証明がされれば,認証の有無にかかわらず,原本と同一の証拠能力が認められる。なお判決正本,公正証書正本のように,法律の規定がある場合に権限ある者が原本に基づいて作成する謄本をとくに正本という(民事訴訟法255条2項,公証人法47条等)。正本は外部においては原本と同一の効力をもって通用する。
執筆者:清水 湛
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…戸籍抄本(戸籍法10条),登記簿抄本(不動産登記法21条,21条の2,商業登記法11条),訴訟記録の抄本(民事訴訟法91条3項)などがその例である。謄本が原本の内容の全部を証明するために作成されるのに対し,抄本はその内容の一部を証明するために作成される点で両者は異なるが,その他の点については,抄本も謄本とほぼ同様である。【清水 湛】。…
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